2002 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞生・死の細胞内情報伝達-ERストレスとCaveolaとのクロストーク
Project/Area Number |
13670637
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
武藤 多津郎 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教授 (60190857)
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Keywords | Caveola / Apoptosis / アルツハイマー病 / NGF / Trk / neuroblastoma |
Research Abstract |
本年度は,咋年度の引き続いでCaveolaの主要構成糖脂質であるガングリオシドがERストレスの際如何なる影響を受けるかを明らかにするために以下の実験を行った。即ち、家族性アルツハイマー病の原因遺伝子であるプレセニリン1(PS1)の患者に見られる突然変異を導入したヒト神経芽細胞腫SH-SY5Yを用いて検討した。変異型PS1を発現する細胞では本来細胞膜に存在するはずの高親和性神経栄養因子受容体であるTrkチロシンキナーゼがTrans-Golgi network (TGN)に存在し、したがってリガントであるNGFに反応できなくなっていること、また、同細胞の脂質分析を行うと総ガングリオシドが激減していることを見出した。このガングリオシドの激滅はグルコシルセラミド合成酵素の活性低下に基ずくものであることが見出した(論文作成中)。さらに高脂血症の治療薬であるHMG-CoA還元酵素阻害薬(HCRI)により筋細胞であるL6細胞においてApoptosisが惹起されることをこれまで報告してきたが、HCRIの短時間処理(1時間)で細胞膜上のコレステロールは明らかに減少しCaveolaに存在するRasやカベオリンがカベオラから遊離していく事実を見出した(論文作成中)。以上の結果は、ERストレスやその延長線上にあるApoptosisの際細胞膜本来の構造CaveolaのIntegrityが破懐される可能性があることを示唆するものと考えた。次年度はこうした所見を実際の神経変性患者で確かめると共にカベオラ構造の安定性を司るタンパク、脂質分子の同定をめざすと共に新たな薬剤の探索を行う予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Nakagawa H, Mutoh T, Kumano T, Kuriyama M: "Tyrosine phosphorylation of the catalytic subunit p110 of phosphatidylinositol-3 kinase induced by HCRI in L6 myoblasts"FEBS Lett. 508. 53-56 (2001)
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[Publications] Mutoh H, Hamano T, Yano S, Koga H, Yamamoto H, Furukawa K: "Stable transfection of GM1 synthase gene into GM1-deficient NG108-15 cells, CR-72 cells, rescues the responsiveness of Trk-neurotrophin receptor NGF"Neurochem Res. 27. 801-806 (2002)
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[Publications] 武藤 多津郎, 山本 紘子: "細胞死の情報伝達機構-細胞膜ラフトと細胞死のクロストーク"最新医学. 57. 2394-2399 (2002)
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[Publications] Hamano T, Fujiyama J, Kawamura Y, Mutoh T, et al.: "Muscle MRI findings of HTLV-1 associated myelopathy"J neurol Sci. 199. 45-48 (2002)