2003 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞:生・死の細胞内情報伝達-ERストレスとCaveolaとのクロストーク
Project/Area Number |
13670637
|
Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
武藤 多津郎 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教授 (60190857)
|
Keywords | カベオラ / アルツハイマー病 / グルコシルセラミド / ガングリオシド / 神経成長因子 / γ-セクレターゼ / シグナル伝達 / チロシン燐酸化 |
Research Abstract |
最終年度の本年度は、神経疾患患者での検討を予定していたが転勤に伴いこれまで私が蓄積してきた患者検体の使用に関し前任教室からの協力が得られなかったためその使用を断念した。そこで、家族性アルツハイマー病の原因遺伝子であるプレセニリン1(PS1)の野生型及び変異型(I143T)を強制発現するヒト神経牙細胞種SH-SY5Yのステーブルトランスフェクタントを用いて本病に想定されているERストレスの有無・Caveola異常の有無を明らかにしその病態をCaveolaの観点から捉え直すことを目的とした。そのまず第一段階として野生型・変異型PS1の発現細胞の脂質分析を行った。その結果、1)変異型PS1を発現する細胞では、ガングリオシド合成が著明に抑制されていた、2)このガングリオシド合成抑制はグルコシルセラミド(GlcCer)の合成抑制が主因であること、3)GlcCer合成低下はその合成酵素であるグルコシルセラミド合成酵素タンパク(GCS)の減少が主因でありRT-PCRで見る限りそのmRNA産生には異常はないと考えられること、4)野生型及びMockではGCSはゴルジに存在したが、変異型では核画分に異常に存在していた、5)こうした細胞に発現するTrk高親和性神経成長因子受容体はそのリガンドに反応しないことなどを明らかにした。つまり、少なくとも家族性アルツハイマー病(FAD)では、PS1の変異によりGCSの異常な翻訳後修飾を来たし、結果としてガングリオシド合成が障害され細胞膜Caveola機能に異常をきたしていることが判明した。今後、こうしたガングリオシドを含めた細胞膜脂質異常の是正が本疾患の新たな治療法となる可能性が示唆された。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Nakagawa H, Mutoh T, Kumano T, Kuriyama M: "Tyrosine phosphorylation of the catalytic subunit p110 of phosphatidylinositol-3 kinase induced by HMG-CoA reductase inhibitor inhibits its kinase activity in L6 myoblasts"FEBS Lett. 508. 53-56 (2001)
-
[Publications] Hirayama M, Mutoh T, Tokuda A: "Acid hydrolase activity of cultured bovine oligodendrocytes"Neurochem Res.. 26. 121-124 (2001)
-
[Publications] Mutoh T: "Biological implication of the membrane rafts in neuronal cells."Trends in Glycocong Glycosci. 13. 291-299 (2001)
-
[Publications] Mutoh T, Hamano T, Tokuda A, Yano S, Kuriyama M: "Stable transfection of GM1 synthase gene into GM1-deficient NG108-15 cells, CR-72 cells, rescues the responsiveness of Trk-neurotrophin receptor to its ligand, NGF."Neurochem Res.. 27. 801-806 (2002)
-
[Publications] Hamano T, Mutoh T, Hirayama M, Kawamura T, Nagata T, Fujiyama T: "MRI findings of X-linked spinal and muscular atrophy"J Neurol Sci. (in press).
-
[Publications] 武藤多津郎, 山本〓子: "γ-セクレターゼと糖脂質"蛋白質・核酸・酵素. (in press).