2001 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病における新しいコリン作動性神経路に関する研究
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13670639
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
遠山 育夫 滋賀医科大学, 分子神経科学研究センター, 教授 (20207533)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 明典 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (20324585)
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Keywords | アセチルコリン / アルツハイマー病 / 神経伝達物質 / 学習 / 記憶 / コリンエステラーゼ阻害薬 / mRNA / alternative splicing |
Research Abstract |
コリンアセチル基転移酵素(ChAT)は、コリン作動性神経の神経伝達物質であるアセチルコリンの合成酵素である。最近、我々はラットの翼口蓋神経節から新しいChATサブタイプを発見しpChATと命名した。動物脳でpChATの分布を検索したところ、哺乳動物の大脳皮質に投射するコリン神経は、既知の「無名質-大脳皮質路」に加え、pChATを合成酵素とする「隆起乳頭体核-大脳皮質路」が存在することが明らかになった。新しいコリン神経回路の発見は、アルツハイマー病における認知機能障害の病態解明とコリン神経をターゲットにした治療戦略にとって極めて重要な意味をもつ。本研究の目的は、ヒトpChATの遺伝子、アミノ酸構造を明らかにするとともに、学習・記憶機能との関連やアルツハイマー病での変化を探ることである。 滋賀医科大学倫理委員会の承認を受けて、同意を得た患者さんの顎下神経節から総RNAを抽出し、cDNAを合成した。ラットpChATの構造をもとにヒトpChATのmRNAの構造を検索し、ヒトの遺伝子、アミノ酸構造の一端を解明した。その成果の一部は、2001年9月に京都市で開催された日本神経科学会のシンポジウムおよび2002年3月4日に滋賀医科大学で開催した第4回分子神経科学研究センター国際シンポジウムで報告した。 また、ヒトのpChATに対する抗体作成に着手し、ウサギポリクローナル抗体を得た。現在、この抗体を用いてヒト脳におけるpChATの分布を検索している。pChATは、従来のChAT遺伝子から、alternative splicingで合成されると考えられることから、ヒト神経疾患剖検脳を用いたmRNA解析法が重要となる。そこで従来は困難であった固定標本からのmRNA解析法を新しく開発した。この方法は、国際学術誌Dementiaに受理され掲載された(研究発表参照)。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Ikuo Tooyama, Haruhisa Sato et al.: "Correlation of the expression level of Clq mRNA and the number of Clq-positive plaques in the Alzheimer disease temporal cortex"Dementia Geriatr Cogn Disord. 12巻. 237-242 (2001)
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[Publications] M Kage, Q Yang, I Akiguchi et al., I Tooyama: "Acidic fibroblast growth factor(FGF-1)in the anterior horn cells of ALS and control cases"NeuroReport. 12巻・17号. 3799-3803 (2001)