2002 Fiscal Year Annual Research Report
パーキンソン病発症機構の解明-ホモシステイン毒性とその関連酵素遺伝子多型の検討-
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13670644
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
中島 健二 鳥取大学, 医学部, 教授 (70144673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中曽 一裕 鳥取大学, 医学部附属病院, 医員
古和 久典 鳥取大学, 医学部附属病院, 助手 (30284003)
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Keywords | パーキンソン病 / ホモシステイン / メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素 / L-dopa / s-アデノシルメチオニン / s-アデノシルホモシステイン / 動脈硬化 / wearing-off現象 |
Research Abstract |
我々はこれまでにParkinson病(PD)の発症要因および増悪因子を検討する中で,PD患者における血漿高ホモシステイン(Hcy)の存在を報告してきた(Yasui et al.,2000). 今回高Hcy血症の正じる機序を検討するため,20例の未治療PD患者において,L-dopa内服前後の血漿Hcy及びメチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素(MTHFR)遺伝子多型を検討した.PD患者のL-dopa内服前の血漿Hcy値は11.0±4.5μMで健常対照群(n=55)の10.2±5.3μMと有意差を認めなかった.一方,L-dopa内服後の血漿Hcy値は18.8±13.5μMであり,内服前と比較して有意な上昇を認めた。さらに血漿Hcy値をMTHFR遺伝子多型別にみると,C/C型(wild)では10.9±1.6μMから14.6±2.4μMへ,C/T型では10.3±4.0μMから14.1±4.2μMへ,T/T型では11.9±7.1μMから29.3±21.8μMへと上昇し,いずれも有意な上昇であり,'特にT/T型では顕著だった(Yasui et al., Acta Neuro Sca in press).さらに,高Hcy血症は血管障害の危険因子であるため,L-dopa内服PD患者における動脈硬化性変化を頸動脈超音波検査で検討した.PD群(n=100)では健常群に比して有意に中内膜複合体厚が高値であったが,L-dopa非投与PD患者では健常群と有意な差を認めなかった.さらに血漿Hcy値,MTHFR多型を同時に検討したところ,MTHFR 677T/T多型を有するL-dopa投与PD患者においては高Hcy血漿を伴う頸動脈中内膜肥厚が認められた.以上よりPD患者群における頸動脈中内膜肥厚への,L-dopa内服に伴う高Hcy血症の関与が示唆された(Nakaso et al., J Neurol Sci 2003).また,53例のPD患者においてHcy産生の中間代謝産物s-アデノシルメチオニン(SAM)およびs-アデノシルホモシステイン(SAH)を測定してSAM/SAH比を算出し,臨床型と比較検討した.同比は罹病期間が長くなる程,またwearing off現象を有するPD患者において低値であったが,有意差は無かった.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kazuhiro Nakaso et al.: "Hypertrophy of IMC of carotid artery in Parkinson's disease is associated with L-DOPA, homocysteine, and MTHFR genotype"J Neurol Sci. 207. 19-23 (2003)
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[Publications] Kenichi Yasui et al.: "Levodopa-induced hyperhomocysteinemia in Parkinson's disease"Acta Neurol Sea. (in press). (2003)