2001 Fiscal Year Annual Research Report
心肥大・心不全におけるジアシルグリセロールキナーゼの役割の解明
Project/Area Number |
13670687
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加賀谷 豊 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (90250779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 薫 山形大学, 医学部, 教授 (30234975)
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Keywords | 心肥大 / 心不全 / ジアシルグリセロールキナーゼ / イノシトールリン脂質代謝 / アンジオテンシン変換酵素阻害薬 |
Research Abstract |
プロテインキナーゼC(PKC)は、ジアシルグリセロール(DG)により活性化され、心肥大や梗塞後心室リモデリングの過程で重要な役割を担う。ジアシルグリセロールキナーゼ(DGK)はDGをフォスファチジン酸に変換する酵素であり、PKCの活性調節因子である。我々は、初めて心筋におけるジアシルグリセロールキナーゼの発現をそのアイソザイム毎に明らかにした。すなわち心筋においてはジアシルグリセロールα、ε、ζの異なる3種類のアイソザイムが発現していた。心筋梗塞後の心室リモデリングの過程において、梗塞部と残存心筋のそれぞれにおいて前者では主としてζが、後者においてはεが発現していた。免疫組織学的検討から、梗塞部におけるζは、梗塞の極急性期には多核白血球に、その後はマクロファージに主として発現がみられた。一方、残存心筋におけるεの発現は主として心筋細胞にみられた。Competitive PCRにより、3週間のアンジオテンシン変換酵素阻害薬カブトプリルによる治療が梗塞後のジアシルグリセロールキナーゼの発現に与える影響を検討した。その結果、カブトプリルは梗塞部におけるζの発現には影響を与えなかったが、残存心筋におけるεの発現を有意に回復させた。カブトプリル投与群では心室リモデリングが有意に抑制されており、この効果の少なくとも一部をεの発現回復が説明する可能性が示された。一方、シャム手術を行ったラットの心筋におけるεの発現はカブトプリル投与により有意に亢進することも明らかとなつた.。これは、加齢に伴う変化に対するカブトプリルの効果である可能性があり、非常に興味深い。以上から、心筋梗塞後の心室リモデリングの過程において、それぞれ異なったジアシルグリセロールキナーゼ・アイソザイムが固有の役割を果たしていることが示唆された。今後、本酵素が梗塞後心室リモデリングにおける新たな治療の標的となる可能性がある。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Takeda M, Kagaya Y et al.: "Gene expression and in situ localization of diacylglycerolkinase isozymes in normal and infarcted rat hearts"Circ Res. 89. 265-272 (2001)
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[Publications] Chida M, Kagaya Y et al.: "[^<18>F] Labeled Diacylglycerol analogue as a potential agent to trace myocardial phosphoinositide metabolism"Nucl Med Biol. 28. 815-819 (2001)
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[Publications] Takahashi C, Kagaya Y et al.: "Non selective ET receptor antagonist initiated soon after the onset of myocardial infarction may deteriorate 24-hour survival"J Cardiovasc Pharmacol. 38. 29-38 (2001)
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[Publications] Nozaki T, Kagaya Y et al.: "Interaction between sarcomere and mitochondrial length in normoxic and hypoxic rat ventricular papillary muscles"Cardiovasc Pathol. 10. 125-132 (2001)
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[Publications] Fukuchi M, Watanabe J, Kagaya Y et al.: "Increased von Wellebrand factor in the endocardium as a local predisposing factor for thrombogenesis in overloaded human atrial appendage"J Am Coll Cardiol. 37. 1336-1346 (2001)
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[Publications] Wakayama Y, Miura M, Kagya Y et al.: "Effects of intracellular Ca^<2+> during triggered propagated contractions"Am J Physiol. 281. H2133-H2142 (2001)