2001 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化巣における血管平滑筋の脱分化・肥大の発生機序に関する研究
Project/Area Number |
13670695
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 越 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (40313134)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長田 太助 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
鹿子木 将夫 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
平田 恭信 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (70167609)
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Keywords | 動脈硬化 / 血管平滑筋 / 転写因子 |
Research Abstract |
我々は血管平滑筋の脱分化・肥大に関わる可能性のある転写因子としてmyocyte enhancer fact or 2(MEF2)とnuclear factors of activated T cells(NFAT)に注目し、またNFATを活性化するphosphataseであるcalcineurin(Cal)にも注目した。まず血管平滑筋の脱分化の指標としてnon-muscle myosin heavy chain B(NMMHCB)の発現を用いるために、この遺伝子のpromoter領域を単離してluciferase geneの上流に組み込みluciferase assayにてpromoter活性を評価した。アンジオテンシンII(ATII)はNMMHCBのpromoter活性を増加させたが、この増加はcalcineurinの阻害薬であるcyclosporin A(CyA)により抑制された。一方MEF2のisoformの一つであるMEF2Aのdominant negative mutant(dnMEF2A)では抑制されなかった。またこのpromoter活性はcalcineurinのconstitutively active mutant(caCal)のco-transfectionにより増加した。次に我々はdnMEF2A、caCalを発現するアデノウイルス(Ad)を作成し、これらの過剰発現の血管平滑筋に対する効果を調べた。ATIIはNMMHCBの蛋白発現を増加させたが、この増加はCyAにより抑制され、一方AddnMEF2Aの感染では抑制されなかった。またAdcaCalを感染させるとNMMHCBの発現は増加した。さらに血管平滑筋の肥大に対するこれらのウイルスの発現効果を調べた。ATIIは血管平滑筋の蛋白合成を増加させ、この増加はAddnMEF2Aの感染により抑制されたが、CyAでは抑制されなかった。またAdcaCalの感染では蛋白合成は増加しなかった。以上の結果から、MEF2は主に血管肥大に関与し、Cal/NFATは主として血管平滑筋の脱分化に関与する可能性が示唆され、これらの転写因子は異なる作用を待つことが示唆された。
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