2001 Fiscal Year Annual Research Report
精神的ストレスと酸化的ストレスのクロストークに関する研究
Project/Area Number |
13670712
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
井上 信孝 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (10304099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川嶋 成乃亮 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (10177678)
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Keywords | 酸化ストレス / 精神的ストレス / NADH / NADPH oxidase / 活性酸素 / 動脈硬化 |
Research Abstract |
虚血性心疾患の基礎となる動脈硬化の発症進展は、高脂血症、高血圧、喫煙などの冠動脈危険因子が重要な役割を果たしている。また、それらに加えて精神的ストレスが虚血性心疾患発症進展に深く関わっている。一方、酸化ストレスは動脈硬化性血管病変の形成に重要な役割を果たしていることが明らかとなった。血管におけるレドックス状態は、活性酸素産生系と消去系のバランスによって決定される。活性酸素産生系として、NADH/NADPH oxidaseの重要性が注目されている。また、活性酸素消去系としては、種々の抗酸化酵素が協調的に働いている。本研究の目的は、慢性的精神的ストレスの血管系に及ぼす影響を、特に酸化ストレスの観点から考察し、活性酸素産生系と消去系の活性調節、発現の変動を細胞生物学的、分子生物学的手法を用いて明らかにしょうとするものである。 1.活性酸素消去系の動脈硬化血管の発現動態 活性酸素消去系としては、SOD、 glutathione peroxidase (GPx)、 catalaseの抗酸化酵素群と、thioredoxin (TRX) /glutaredoxin (GRX)系が協調的に働いている。これらの動脈硬化血管での発現動態を、剖検時に得られた標本を用いて検討した。動脈硬化を伴わない冠動脈においては、Cu/ZnSODは血管平滑筋細胞を中心にその発現か認められ、cGPxは、血管内皮細胞に強い発現が認められた。Catalaseは、血管内皮細胞と血管平滑筋細胞に発現が認められ、抗酸化酵素に局在の差違が認められた。また、動脈硬化の進展に伴い浸潤する炎症細胞にこれら抗酸化酵素発現の増強が認められた。TRX/GRX系は、正常冠動脈では、中膜平滑筋細胞および血管内皮細胞に発現が認められ、動脈硬化を伴う冠動脈では、中膜平滑筋細胞や浸潤する炎症細胞に、TRX/GRXの強い発現が認められた。 2.慢性的精神的ストレスモデルの確立 現在、マウス、ラットに慢性的ストレスを負荷する方法として、拘束負荷モデルを用いて、血圧、心拍数、内分泌系の影響を検討している。次年度では、拘束負荷モデルの活性酸素産生系/消去系に及ぼす影響を検討する予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Yamashita T: "Images in cardiovascular medicine. Mouse coronary angiograph using synchrotron radiation microangiography"Circulation. 105(2). E3-E4 (2002)
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[Publications] Namiki M: "Local overexpression of monocyte chemoattractant protein-1 at vessel wall induces infiltration of macrophages and formation of atherosclerotic lesion : synergism with hypercholesterolemia"Arterioscler Thromb Vasc Biol.. 22(1). 115-120 (2002)
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[Publications] Rikitake Y: "Involvement of endothelial nitric oxide in sphingosine-1-phosphate-induced angiogenesis"Arterioscler Thromb Vasc Biol.. 22(1). 108-114 (2002)
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[Publications] Sumi Y: "Expression of tissue transglutaminase and elafin in human coronary artery. Implication for plaque instability"Atherosclerosis. 160(1). 31-39 (2002)
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[Publications] Yamashita T: "Role of endogenous nitric oxide generation in the regulation of vascular tone and reactivity in small vessels as investigated in transgenic mice using synchrotron radiation microangiography"Nitric Oxide. 5(5). 494-503 (2001)
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[Publications] Okuda M: "Expression of glutaredoxin in human coronary arteries : its potential role in antioxidant protection against atherosclerosis"Arterioscler Thromb Vasc Biol.. 21(9). 1483-1487 (2001)