2003 Fiscal Year Annual Research Report
慢性心不全における心室再分極異常と後天性QT延長症候群の発生機序
Project/Area Number |
13670714
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
江森 哲郎 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (20273964)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大江 透 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (70263556)
中村 一文 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (10335630)
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Keywords | 後天性QT延長 / 先天性QT延長 / 潜在性QT延長 / 低カリウム血症 / アルデヒド / 内向き整流Kチャンネル / 不全心 / β遮断薬 |
Research Abstract |
後天性QT延長症候群と考えられる症例の中に、先天性の遺伝子異常があり、潜在性のQT延長と考えられる症例があることを報告した(心臓)。81歳の高齢者で多発性脳梗塞・肺炎にて入院中に、低カリウム血症を誘因として心電図で著明なQT間隔の延長(QTc=0.64秒)、Torsades de pointes(TdP)を認めた。電解質補正とMexilletine投与で発作は認めなくなった。孫にKCNQ1遺伝子の異常(V254M)によるQT延長症候群患者がおり、同遺伝子を検索したところ、同様の異常が認められた。本症例は高齢になるまでTorsades de pointesや失神を発症せず、LQT1(V254M)の同一家系内でも、発症には電解質や自律神経など後天的な因子も大きく関与していると考えられた。 先天的に内向き整流Kチャネルが障害されるとQT延長症候群(Andersen症候群)がおきる。我々は内向き整流Kチャネル抑制作用がある有害なアルデヒドである4-Hydroxy-2-nonenal(HNE)が拡張型心筋症・肥大型心筋症の不全心において増加していることを報告した。肥大型心筋症では肥大から心不全に至る過程で特に増加していた(Circ J)。このHNEは単離心筋細胞に投与するとCa過負荷も生じ、心不全における不整脈の発症に関与していると考えられた。抗酸化作用を持つβ遮断薬であるカルベジロールはHNE減少作用を持ち(JPn JElectrocardiology)、不整脈発生の抑制に関与する可能性がある。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 中村一文, 江森哲郎 他: "β遮断薬と酸化ストレス"Jpn J Electrocardiology. 24. 15-21 (2004)
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[Publications] Kazufumi Nakamura, Tetsuro Emori et al.: "Relation between Oxidative Stress and Systolic Dysfunction in Patients with Hypertrophic Cardiomyopathy"Circ J. 67(supp1 I). 227 (2004)