2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13670730
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
尾辻 豊 鹿児島大学, 医学部附属病院, 講師 (30264427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鄭 忠和 鹿児島大学, 医学部, 教授 (10163891)
皆越 眞一 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (90190694)
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Keywords | 虚血性僧帽弁逆流 / 両室ペーシング / 心エコー法 |
Research Abstract |
虚血性・機能性僧帽弁逆流の機序として、左室拡大に伴い乳頭筋が外側へ変位し、僧帽弁尖を強く牽引しその可動性を低下させる(Valve Tethering)ことが提唱されている。また、Valve Tethering以外にも弁輪拡大等も僧帽弁逆流の機序として提唱されている。虚血性・機能性僧帽弁逆流例は、Valve Tetheringも弁輪拡大も両方有しているため、どちらが真のあるいはより強い原因であるかどうか不明である。我々は、孤立性心房細動例においては、弁輪拡大はあるが左室拡大はない(従ってValve Tetheringがない)、さらに僧帽弁逆流も極軽度であることを発見し、弁輪拡大単独では有意な僧帽弁逆流は出現しないことを報告した。やはり、虚血性・機能性僧帽弁逆流の機序として、Valve Tetheringが主であることを示すデータと言える。 また、下壁急性心筋梗塞例では、前壁中隔心筋梗塞例と比べて左室拡大は軽いが僧帽弁逆流は強いことが観察されていたが、その機序は不明であった。我々は、前壁中隔梗塞例の左室拡大(リモデリング)はより強いが、そのリモデリングは左室基部後壁に位置する僧帽弁複合体の変形を起こしにくいために僧帽弁逆流が見られないか軽いことが多い。一方、下壁梗塞例の左室拡大(リモデリング)は確かによりも左室拡大は軽いが、僧帽弁複合体の位置する左室基部後壁に出現するために僧帽弁複合体の変形を起こしやすいために僧帽弁逆流が有意であることが多いことを報告した。このことは、左室拡大自体ではなく僧帽弁複合体の変形によるValve Tetheringが虚血性・機能性僧帽弁逆流の主な機序であることを示している。 また、孤立性心房細動例では両室ペーシングが効果的であるとの報告が見られるが、その期序は不明である。我々は、両室ペーシングの僧帽弁逆流に及ぼす効果は急性に出現するので、「両室ペーシングによる僧帽弁逆流の改善は、左室容量の減少からのValve Tetheringの軽減ではなく、同じValve Tetheringの状態でも左室収縮機能の改善が僧帽弁の閉鎖を改善する」という仮説の実証のため、動物モデルで虚血性・機能性僧帽弁逆流を作成し、両室ペーシングの効果を評価している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Otsuji Y, et al.: "Isolated annular dilatation does not usually cause important functional mitral regurgitation"Journal of the American College of Cardiology. 39. 1651-1656 (2002)
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[Publications] Kumanohoso T, Otsuji Y, et al.: "Mechanism of higher incidence of ischemic mitral regurgitation in patients with inferior myocardial infarction"The Journal of Thoracic and Cardiovascular Surgery. 125. 135-143 (2003)