2001 Fiscal Year Annual Research Report
aPKCλおよびaPKC特異的結合蛋白(ASIP)の心血管系における機能解析
Project/Area Number |
13670733
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
梅村 敏 横浜市立大学, 医学部, 教授 (00128589)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 厚 横浜市立大学, 医学部, 講師 (00264606)
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Keywords | PKC / atypical PKC / ASIP / シグナル伝達 / 心肥大 / 心不全 / 液性因子 / 心筋細胞 |
Research Abstract |
心筋細胞では、カテコラミンやアンギオテンシンIIなどの液性因子の下流のシグナル伝達において、PKCは、様々なシグナル伝達因子の交差点として、重要な働きをしていることが示されているが、新たなPKC分子種群であるatypical PKC(以下aPKC)の役割は、明らかではない。 まず、western blot法により、マウスの胎児、新生児、成体の心臓組織においてaPKC、aPKC特異的結合蛋白(以下ASIP)の蛋白発現量を検討したと噂ろ、胎児→新生児→成体と成長に伴う蛋白発現量の減少が認められた。これは、心肥大反応においては、心筋の特定の蛋白が胎児型にswitchするという仮説に従うものである。続いて、免疫組織染色にて、蛋白レベルでの組織内局在を見たところ、aPKC、ASIPの両者が、心房・心室とも、心筋内にdiffuseに存在していた。In situ hybridaizationにてaPKCλのmRNAレベルでの組織内局在を検討したところ、蛋白レベルと同様、心筋内にdiffuseに存在しており、aPKCとASIPは、心房・心室の両者でシグナル伝達に関わっていることが考えられた。 aPKCのアデノウイルスベクターを用いて、恒常活性型と優勢抑制変異体を、心筋細胞において高発現させ、フェニレフリン、アンギオテンシンII、Epidermal Growth Factor等で刺激した結果では、MAP KinaseやS6 Kinaseのリン酸化に影響はなかった。しかし、全てのPKCを抑制するPKC阻害薬とaPKCを除くPKCを抑制するPKC阻害薬を反応させて、心筋細胞をEpidemal Growth Factorで刺激したところ、全てのPKCを抑制した場合に比し、aPKCを除くPKCを抑制した場合は、MAP KinaseやS6 Kinaseのリン酸化の抑制の程度が弱く、このシグナル経路に、aPKC依存の経路が存在していることが、示唆された。 ダール食塩感受性ラットに6週齢より8%食塩負荷を行った群において、11週齢で心肥大ステージ、16週齢で心不全ステージとして心臓のサンプルを採取し、0.3%食塩の通常食塩群のコントロール群と、PKCの発現量をwestern blot法にて検討した。その結果、PKCβやPKCεなど心肥大・心不全に関与することが既知である他のPKC分子種同様、aPKCも発現量の増大が認められ、in vivoにおいて、心肥大・心不全のシグナル伝達に関わる可能性が、示唆された。 現在、心筋細胞を液性因子で刺激し、特異的抗体を用いて免疫沈降しキナーゼ活性を測定する実験等を進行中であり、これらaPKCが、心肥大・心不全シグナル伝達に関与する可能性の検討を進めている。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] K.Hanada, O.Tochikubo, T.Shigemasa.K.Kimura, S.Umemura: "Estimation of myocardial cell damage on basis of electrocardiographic voltage and anatomical left ventricular mass"Hypertension Research. (in press).
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[Publications] T.Fujita, Y.Toya, K.Iwamoto, K.Kimura, S.Umemura, Y.Ishikawa: "Accumulation of molecules involved in alfa1-adrenerc signal within caveolae : caveolin expression and the development of cardiac hypertrophy"Cardiovascular Research. Vol.51 No.4. 709-716 (2001)
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[Publications] N.Hirawa, Y.Uehara, M.Kihara, Y.Toya, M.Takagi, S.Umemura: "Lidocalin-Type prostaglandin D synthase in essentioal hypertension"Hypertension. Vol.39 No.2. 449-454 (2002)
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[Publications] S.Ueda, SMaemoto, A.Wada, M.Ishii, KB Brosnihan, S.Umemura: "Angiotensin-(1-F7) potentiates bradykinin-induced vasodilatation in man"Journal of Hypertension. Vol.19 No.11. 2001-2009 (2001)
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[Publications] Y.Mori, H.Kitahara, QH.Song, K.Miyamoto, S.Umemura, J.C.Cyong: "A new murine model for atherosclerosis with inflammation in the periodontal tissue induced by immunization with heat shock protein 60"Hypertension Research. Vol.23 No.5. 475-481 (2001)
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[Publications] S.Umemura: "Randamized controlled trials on hypertension"Japan Medical Association Journal. Vol.44 No.10. 461-468 (2001)
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[Publications] 仲澤 一郎, 梅村 敏: "日本臨床 テーラーメイド医療の展望 高血圧症"株式会社日本臨床. 9 (2002)