2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13670735
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
木原 実 横浜市立大学, 医学部, 助手 (60177904)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸谷 義幸 横浜市立大学, 医学部・附属病院, 講師 (30237143)
梅村 敏 横浜市立大学, 医学部, 教授 (00128589)
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Keywords | カベオリン / 血管内皮 / eNOS / レニン・アンジオテンシン系 |
Research Abstract |
アンジオテンシノーゲン遺伝子欠損(Atg-/-)マウスおよびAT1a受容体遣伝子欠損(Atla-/-)マウスの病理学的検索を行ったところ、光顕レベルで腎臓の葉間動脈〜小葉間動脈を中心として高度な壁肥厚と平滑筋の増殖が認められた。電顕レベルでは、平滑筋細胞の配列と内弾性板の走行異常ならびに増生が認められた。これちの所見は腎臓特異的な病変であった。これらは、Dahl食塩感受性(Dahl-S)ラットの腎血管病変(12週令以降)と類似していた。血管病変の性質を明らかにするため内皮型一酸化窒素(NO)合成酸素(eNOS)の発現を検討したところ、Atg-/-マウスの葉間〜小葉間動脈においてeNOSの発現がmRNAレベルで著明に抑制されていることが明らかとなった。eNOSの活性の指標となるNADPH diaphorase活性の検討でも再現性が認められた。また、Atla-/-マウスの同部位においては、塩分摂取量の違いによってeNOSの発現および活性が野生型にはみられない異常な変化を示し、血管内皮機能の恒常性が損なわれていることが示唆された。一方、Dahl-Sラットにおいても血管病変の進行とともにeNOSの発現低下がみられた。次にeNOS発現異常のメカニズムを明らかにするために、カベオリン-1について検討を加えた。その結果、Atg-/-マウスの葉間〜小葉間動脈の内皮では、野生型動物と比較してカベオリン-1の発現が減弱していた。Dahl-Sラットにおいても動脈硬化病変を呈した部位の内皮においてカベオリン-1の発現が低下していた。一方、Atl-/-マウスの塩分摂取量を変化させても、カベオリン-1は一定の発現を維持していた。カベオリンはeNOSの活性を抑制的に制御している代表的な膜タンパクであるが、モデル動物の病変部位にみられる血管内皮のeNOS発現の低下は、カベオリンが過剰に発現した結果とは考えにくく、内皮の細胞膜自体の病変が関与しているものと堆測される。
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