2001 Fiscal Year Annual Research Report
急性心筋梗塞における炎症性サイトカインの発現と役割―TNF,IL-1,IL―6ノックアウトマウスを用いた検討から―
Project/Area Number |
13670742
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
鈴木 洋 昭和大学, 医学部, 助手 (90266106)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木庭 新治 昭和大学, 医学部, 助手 (20276546)
下司 映一 昭和大学, 医学部, 助教授 (50192050)
片桐 敬 昭和大学, 医学部, 教授 (90102293)
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Keywords | サイトカイン / TNF-α / IL-1β / IL-6 / 急性心筋梗塞 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
心筋梗塞、心不全の病態形成において発現するサイトカインのうちTNF-α、IL-1β、IL-6のノックアウトマウス、および対照として同系統のワイルドを用い心筋梗塞モデル、心不全モデルを作成し、TNF-α、IL-1β、IL-6の組織内発現、局在と経時的変化、また左室機能を検討する。この知見から将来臨床において、心筋梗塞、心不全、敗血症などサイトカインの関与する病態への一つのstrategyを明確にすることを目的とする。 8週令のTNF-αノックアウトマウス(KO)、および同週令、同種のワイルドマウス(WT)において胸部正中切開後、左前下行枝を結紮し心筋梗塞を作成した。術後1、3日に超音波による心機能評価と組織を摘出しWTに関してはELISA法を用いて組織内TNF-α、IL-6濃度を測定、また組織固定後、炎症細胞浸潤、免疫組織染色、TUNEL法を用いて細胞死を検討した。 WTにおいて術後1日から梗塞、非梗塞部でTNF-α、IL-6濃度の上昇を認め、3日後においてさらに上昇した。超音波所見は、術後1日では両群には有意差を認めないものの3日後には左室拡張終期径は有意にKO群で小さく(WT : 4.58mm vs KO : 4.16mm, p<0.05)、左室短縮率は有意にKO群で高値であった(WT : 14.9% vs KO : 8.8%, p<0.05)。組織学的に炎症細胞の浸潤はKO群において少ない傾向にあった。また、梗塞周囲におけるTUNEL陽性細胞数は有意にKO群において少なかった(WT : 16.4% vs KO : 11.7%, p<0.05)。 TNF-αを抑制することにより心機能が保たれたことより、抗サイトカイン療法が今後の心筋梗塞、心不全治療の一つになりうる可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 鈴木 洋: "急性心不全におけるサイトカインの役割に関する臨床的、実験的検討"J Cardiol. 38. 71 (2001)
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[Publications] Masayuki Shibata: "Decreased expression of 3-nitrotyrosine and apoptosis in tumor necrosis alpha knock out mice after experimental myocardial infarction"J Moll Cell Cardiol. 33. A111 (2001)