2001 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアのカリウムチャネルとラット培養心筋及び血液灌流心での心筋保護の関連
Project/Area Number |
13670756
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
朝山 純 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (60079796)
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Keywords | 培養心筋 / 心筋アポトーシス / IL-1β / ACE-I / カリウムチャネル |
Research Abstract |
心筋の収縮には膨大なエネルギー(ATP)が必要であり、そのエネルギー代謝の中心がミトコンドリアであり、心筋障害とATP依存性カリウムチャネル、カルシウム活性化カリウムチャネル、更にNO合成との関連が注目されている。今回、不全心や死滅心筋(壊死とアポトーシス)とミトコンドリアの関連、関与を明らかにするために、心不全における収縮不全との関連が示唆されているIL-1βを培養心筋細胞に処置するとNOの産生が増大し、、細胞内ATPは著減し、細胞死が増加した。これらの変化はL-NMMAにより抑制され、nitmprussideにより同様の変化を認めた。一方、低酸素、再酸素化障害(逸脱LDH量で判定)はACE阻害薬で抑制されたが、AT1受容体拮抗薬では効果を認めなかった。ACE阻害薬及びbradykininは再酸素化時の細胞内ATPレベルを、改善させたが、L-NMMAはこの改善効果を消滅させた。細胞傷害、細胞保護にNOは二面性の役割を演じている。次いで、培養心筋ミディウムのブドウ糖の濃度を減少させて細胞内ATPレベルを下げていくことによるstaurosporineによる壊死およびアポトシスに与える影響を検討した。細胞内ATPの低下とともに培養細胞の生存率は低下したが、細胞内ATPの増加につれcaspase-3活性が増加しアポトーシスによる細胞死が増加した。Cyclosporin Aはstaurosporineによる壊死およびアポトシスを減少させた。以上より、ミトコンドリアのエネルギー状態により細胞死のシグナル伝達経路が壊死からアポトーシスに変換されることが示唆された。なお、灌流心では、nicorandilの虚血再灌流障害抑制効果をglibenclamideが阻害した。
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