2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13670778
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
土岐 力 弘前大学, 医学部, 助手 (50195731)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 悦朗 弘前大学, 医学部, 教授 (20168339)
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Keywords | 赤血球造血 / 転写因子 / NF-E2 / BACH1 / BACH2 |
Research Abstract |
【研究目的】 本研究の目的は、1.BACH転写因子群が発現を調節している遺伝子(標的遺伝子)を同定し、その発現調節のメカニズムを明らかにすることである。また、2.この転写因子群の異常な発現が原因として考えられる疾患と、この因子群とのかかわりを解き明かすことにある。 【結果】 1.BACH1・トランスジェニック(TG)マウスの解析 BACH1が、ダウン症候群にみられる急性巨核球性白血病や一過性骨髄増殖性疾患の原因遺伝子である可能性を検索する目的で、GATA-1遺伝子のプロモーターで発現するBACH1 TGマウスを作製した。現在、5系統について解析中である。外来性のBACH1の造血細胞における発現を確認した。現在までの解析で以下のことが明かとなった。(1)BACH1 TGマウスは、末梢血検査で貧血、血小板減少などの異常は認められない。(2)BACH1 TGマウスに白血病の発症はみられていない。(3)前血小板形成試験(PPF)をしたところ、BACH1 TGマウスでPPFの著明な低下が認められた。(4)アセチルフェニルヒドラジンを60mg/kg腹腔内投与することにより、酸化刺激を与えたところ、正常マウスでは溶血性貧血が誘導されたが,BACH1 TGマウスではほとんど貧血が誘導されなかった。 2.BACH2標的遺伝子の解析 我々は、マイクロ・アレイ法によって、B細胞株において2個の遺伝子(BCL2-A1およびEBI3)が、BACH2により負に転写制御されていることを発見した。本研究においては、BACH2によるBCL2-A1、EBI3のダウンレギュレーションの機構を明らかにすることを目的とした。 (1)Southern blot法および塩基配列を解析によりBCL2-A1遺伝子、EBI3遺伝子の構造を明らかにした。(2)BACH2がA1の発現を直接制御している可能性を、electrophoretic mobility shift assayおよびプロモーター機能解析によって検索した。EMSAの結果、BACH2とMAFKのヘテロ二量体が結合するNF-E2配列類似の塩基配列がA1遺伝子上に2つ存在することが明らかとなった。一過性の遺伝子導入実験の結果、その内の5'上流域に存在するNF-E2配列を介してBACH2がA1遺伝子の発現を抑制していることが明らかとなった。(3)また、EBI3においても、BACH2の共発現により、EBI3のプロモーター活性が抑制されること見い出した。
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