2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13670778
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
土岐 力 弘前大学, 医学部, 助手 (50195731)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 悦朗 弘前大学, 医学部, 教授 (20168339)
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Keywords | 血小板造血 / 赤血球造血 / BACH1 / BACH2 / NF-E2 / 転写因子 |
Research Abstract |
【研究目的】 本研究の目的は、1.BACH転写因子群が、発現を調節している遺伝子(標的遺伝子)を同定し、その発現調節のメカニズムを明らかにすること。また、2.BACH転写因子群の過剰な発現が原因として考えられる疾患と、この因子の関わりを明らかにすることである。 【結果】 1.BACH1転写因子を、赤芽球・巨核球に多量に過剰に発現するマウスにおいては、血小板産生が抑制される。 BACH1が、ダウン症候群にみられる急性巨核球性白血病や一過性骨髄増殖性疾患の原因遺伝子である可能性を検索する目的で、赤芽球・巨核球特異的プロモーターを用いたBACH1 TGマウスを作製した。このマウスのうち、特に外来BACH1の発現が強いラインにおいて、著しい血小板産生の抑制が観察された。骨髄の他に脾臓、肝臓で造血所見が得られ、特に骨髄と脾臓においては繊維化が認められた。また、成熟が障害された巨核球も認められ、一過性骨髄増殖性疾患との表現型の類似性が示された。 2.BACH2転写因子を多量に発現したリンパ腫細胞株では、酸化ストレスにより細胞死が誘導された。 Ph1陽性リンパ性白血病を抗癌剤STI571で処理すると、BACH2の発現が誘導される。今回我々は、BACH2発現リンパ腫細胞株を、酸化ストレスを産生する抗癌剤で処理したところ、BACH2因子の核への局在化と細胞死の誘導を観察した。この所見は、難治性のPh1陽性リンパ性白血病の治療に際して、STI571と酸化ストレスを産生する抗癌剤の組み合わせが、良い治療成績を引き出す可能性を示唆している。
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