2002 Fiscal Year Annual Research Report
小児巣状分節性糸球体硬化症の病因、進展機序の解明に関する分子遺伝学的研究
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13670819
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
仲里 仁史 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (10332884)
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Keywords | ポドシン / 単状分節性糸球体硬化症 / NPHS2遺伝子 |
Research Abstract |
緒言:我国で透析に至る小児は年間約100名である。うち2割は巣状分節性糸球体硬化症(FGS)である。FGSには家族性のものがあり、遺伝的異質性が認められる。常染色体劣性遺伝の本症は、腎糸球体に存在する蛋白Podocin(NPHS2遺伝子)の異常であることが解明されている。まず、小児期発症の責任遺伝子と考えられるNPHS2について遺伝子解析を行い、さらにPodocin蛋白の正常人腎および患者腎での存在様式について検討する。 方法:家族性または若年発症で末期腎不全へ進行したFGS患者について、NPHS2遺伝子の異常の有無をみる。遺伝子解析については、患者や家族の承諾を得る。次に、Podocinのアミノ酸配列から既存の蛋白と相同性の少ない部分を選択し、2個の合成ペプチドを作成する。その合成ペプチドにてラビットを免疫し抗体を作成する。 正常人腎組織でのPodocinの存在様式を蛍光抗体法等にて検討する。さらに本症患者の腎組織でのPodocinの存在様式を検討する。 結論:1)6家系のFGS患者の遺伝子解析にて、NPHS2のcoding領域に変異は認められなかった。これらの患者では、NPHS2遺伝子の調節領域の異常または家族性FGSをおこす他の遺伝子異常が考えられる。2)Podocinに対するポリクロナール抗体が得られた。これを用い、正常人腎組織でのPodocinの存在様式をみると、Podocinは糸球体に限局して染色された。synaptopodinやa5(IV)鎖との二重染色にて、Podocinの発現は上皮側に局在すると考えられた。3)FGS患者19例の免疫染色では、約7割の患者にPodocinの染色性の低下または消失がみられた。消失している7例のうち2例は腎不全へ進行しており、Podocinの染色性消失は予後不良の可能性が考えられた。
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Research Products
(1 results)