2002 Fiscal Year Annual Research Report
川崎病冠動脈病変における血管新生因子の発生機序の解明と遺伝子治療
Project/Area Number |
13670854
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Research Institution | KURUME UNIVERSITY |
Principal Investigator |
赤木 禎治 久留米大学, 医学部, 講師 (80231801)
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Keywords | 川崎病 / 冠動脈 / 血管内皮 / 血管新生 / 動脈硬化 / VEGF / HGF / 長期予後 |
Research Abstract |
この研究ではまずin vivoにおける血管新生因子の発現状況を検討するために血漿中の血管新生因子であるvascular endothelial growth factor(VEGF) とhepatocyte growth factor(HGF) を測定し,冠循環におけるそれらの分布状況を検討した.結果として初年度には,川崎病急性期にVEGFやHGFをはじめとする血管新生因子が発現亢進状態にあること,さらに冠動脈病変合併例により亢進していることを確認した.さらに本年度の研究では1)血管新生の発現は冠動脈病変の進展や退縮とどのように関連しているのか,また2)川崎病冠動脈病変と成人動脈硬化病変におけるVEGF陽性細胞発現の比較検討,を実施した. 1)冠動脈病変の進展や退縮と血管新生因子との関連 冠動脈病変の進展状況の指標として冠動脈血管内皮機能を測定し,この結果と血管新生因子との相関を検討した.冠動脈内皮機能の測定には,血管内皮依存性の血管拡張剤であるアセチルコリンと血管内皮非依存性血管拡張剤であるイソソルバイドを冠動脈内に直接注入し,デジタル処理した冠動脈造影像をもちいて冠動脈血管径の絶対値を薬物負荷前後の変化率を算出した.この変化率とカテーテル検査時にサンプリングした冠静脈洞VEGFおよびHGFレベル,また冠静脈洞と大動脈のVEGFよびHGFの差より算出した冠動脈由来VEGF, HGFレベルとの関連を検討した. 2)川崎病冠動脈病変と成人動脈硬化病変におけるVEGF陽性細胞発現の比較検討 In vitroにおける検討として川崎病剖検心をもちいた免疫組織化学的検討を試みた.剖検心における冠動脈病変部の連続切片を可及的に作成し,血管内膜部の新生血管の分布状況を免疫組織化学的染色によって検討した.これらの所見から,川崎病冠動脈病変における遺伝子治療の基礎データを得ることができた.
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Furui J: "Soluble form of the selectin family in children with Kawasaki disease : prediction for coronary artery lesion"Acta Paediatrica. 91・1. 1-6 (2002)
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[Publications] Ishii M: "Assessment of the ability of myocardial contrast echocardiography with harmonic power Doppler imaging to identify perfusion"Pediatric Cardiology. 23・2. 192-199 (2002)
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[Publications] Ishii M: "Sequential follow-up results of catheter intervention for coronary lesions after Kawasaki disease"Circulation. 105・4. 3004-3010 (2002)
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[Publications] Himeno W: "Increased angiogenic growth factor levels in cyanotic congenital heart disease"Pediatric Cardiology. 24・2(in press). (2003)
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[Publications] 赤木禎治: "大人になった川崎病既往者の問題"小児科. 42・5. 856-864 (2001)
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[Publications] 赤木禎治: "成人先天性心疾患診療における小児循環器医の役割"日本小児科学会雑誌. 105・9. 954-963 (2001)
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[Publications] 赤木禎治: "ガイドラインに基づく成人先天性心疾患の臨床"中外医学社. 275 (2001)