2003 Fiscal Year Annual Research Report
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13670856
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Research Institution | Okinaka Memorial Institute for Medical Research |
Principal Investigator |
大久保 実 財団法人冲中記念成人病研究所, 研究員 (60241238)
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Keywords | 糖原病 / 脱分枝酵素 / 遺伝子変異 / グリコーゲン / AGL / エスニックグループ |
Research Abstract |
糖原病III型(GSDIII)はグリコーゲン脱分枝酵素(AGL)の遺伝的欠損症で、臓器に異常グリコーゲンが沈着し、多彩な臨床症状を呈する先天性代謝異常症である。私達は、GSDIII型患者を解析し、さまざまなエスニックグループにおける遺伝子変異の分子遺伝学的な検索を行っている。今年度は、カナダ人患者1家系、エジプト人患者1家系、ドイツ人患者1家系の解析を行ない、4個の個の異なる遺伝子変異を同定した。 1.カナダ人患者は、ナンセンス変異(w1327X)と一塩基欠失(1019delA)の複合ヘテロ接合体であることが判明した。ナンセンス変異はエクソン31に、一塩基欠失はエクン9に存在し、いずれもC端のグリゴーゲン結合ドメインを欠く短縮蛋白が生じることが予想された。 2.エジプト人患者はL4塩基欠失(750-753delAGAC)のホモ接合体であった。塩基欠失はエクソン7に存在し、フレームシフトが起こる。ために早期に終止コドンが出現して、C端のグリコーゲン結合ドメインを欠く短縮蛋白を生じると推測された。 3.ドイツ人患者は、スプライシング変異(IVS21+1G>A)のヘテロ接合体であった(もう一つの変異は検索中)。この点変異のために、135塩基対のエクソン21がスキップされて、AGL蛋白の841番から885番までの45アミノ酸が欠失することが考えられた。 4.カナダ人とエジプト人の遺伝子変異は今まで報告のない新奇な変異であった。 5.ドイツ人の遺伝子変異は、イタリア人と日本人でも報告のある変異であり、複数のエスニックグループに存在することが確認できた。
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