2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13670871
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
渡邊 力夫 新潟大学, 医学部附属病院, 助手 (10283011)
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Keywords | BODIPY脂質 / 脂質代謝 / 皮膚角化細胞 |
Research Abstract |
市販の正常ヒト表皮角化細胞培養キットを用いて、未分化な単層培養系、分化した重層培養系を得た。アルブミンと結合させたBODIPY-Ceramide (BODIPY-Cer)を各分化段階の皮膚角化細胞の培地に添加し、細胞に取り込ませ、代謝させた(2uM BODIPY-Cer,30分間,37℃)。代謝されたBODIPY脂質をBligh&Dyerの方法で抽出し、薄層クロマトグラフィーで分離した。代謝されたBODIPY脂質は、BODIPYでラベルされた各種スタンダードで同定し、"Meta-morph"画像操作プログラムで定量した。定量したBODIPY脂質量は細胞蛋白量で標準化した。BODIPY-Cerの一部はBODIPY-glucosylceramide (BODIPY-GlcCer)やBODIPY-sphingomyelin (BODIPY-SM)に代謝されていた。培養角化細胞が分化していく過程で、BODIPY-GlcCerの合成量は分化開始後6日目に最大(分化開始直前の約5倍)であった。一方、BODIPY-SMの合成量は、角化細胞の分化度に関係なく、ほぼ一定であった。このことは、GlcCer合成酵素活性は角化細胞の分化とともに上昇するが、SM合成酵素活性は細胞の分化に関係なくほぼ一定であることを意味する。各分化段階の培養細胞に上記の条件でBODIPY-Cerを取り込ませ、その後細胞を洗浄し、さらに90分間、37℃で培養して、細胞に取り込ませたBODIPY-Cerを代謝させた。このとき、脱脂した高濃度のアルブミンを培地に加えておき、細胞膜に残ったBODIPY-Cer,あるいは細胞膜に転送されたBODIPY脂質を取り除いた。高濃度のアルブミンで何回か培養細胞を洗浄し、細胞膜のBODIPY脂質をほぼ完全に取り除いた。細胞内にのみ存在するBODIPY脂質を上記の方法で抽出、分離、定量、標準化した。分化開始直前、分化開始後6日目の細胞内BODIPY脂質量は、いずれもCer:GlcCer:SM ≒ 2:1:6であった。ただし、分化開始後6日目の各BODIPY脂質量は、分化開始直前のいずれも約3倍であった。このことは、角化細胞の分化開始後6日目には、分化開始直前に比し各々約3倍量のCerやその代謝産物をおそらく層板顆粒内(分化開始直前はゴルジ装置内)に有することを意味している。
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