Research Abstract |
市販の正常ヒト表皮角化細胞培養キットを用いて,分化した重層培養系を得た。アルブミンと結合させたBODIPY脂質(BODIPY-Ceramide)を培養皮膚角化細胞の培地に添加し,細胞に取り込ませた(2μM BODIPY-Ceramide,30分,37℃)。その後,細胞を洗浄し,さらに90分,37℃で培養して細胞に取り込ませたBODIPY-Ceramideを代謝させた。このとき,脱脂した高濃度のアルブミンを培地に加えておき,細胞膜に残るBODIPY脂質を取り除いた。高濃度のアルブミンで何回か培養細胞を洗浄し,細胞膜のBODIPY脂質をほぼ完全に取り除いた。高濃度カルシウム添加培地(1.5mMCa),カルシウム無添加培地,1.5mMCaと50ng/ml Epidermal growth factor(EGF)添加培地,Ca無しと50ng/ml EGF添加培地,1.5mMCaと50ng/ml Keratinocyte growth factor(KGF)添加培地,Ca無しと50ng/ml KGF添加培地,1.5mMCaと10μMレチノイン酸添加培地,Ca無しと10μMレチノイン酸添加培地,のいずれかの条件下で,皮膚角化細胞をさらに18時間,37℃で培養した。その後,各培地を回収し,おのおのの培地中のBODIPY脂質をBligh & Dyerの方法で抽出,薄層クロマトグラフィーで分離した。これにより各条件下でどんな脂質が細胞外に分泌されるか(Exocytosis)解明できるはずであったが,培地中のBODIPY脂質の量が少なく,各脂質の定量は不可能であった。しかし,いずれの条件下でも,無Ca培地の方が,Ceramide, Glucosylceramide, Sphingomyelin, Fatty acidの細胞外分泌量はCa添加培地のそれらよりも多いことが分かった。各層細胞間脂質のバリアー機能を担うCeramideを中心とした脂質は,低カルシウム(無カルシウム)状況下で細胞外に分泌されやすいことが示された。
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