2001 Fiscal Year Annual Research Report
免疫複合体による炎症における、細胞接着分子のin vivoでの役割
Project/Area Number |
13670873
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
佐藤 伸一 金沢大学, 医学部・附属病院, 講師 (20215792)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹原 和彦 金沢大学, 医学系研究科, 教授 (50142253)
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Keywords | 免疫複合体 / L-selectin / ICAM-1 / 細胞接着分子 / 血管炎 / アルサス反応 |
Research Abstract |
皮膚における免疫複合体によるアルサス反応は、ニワトリ卵白アルブミンに対するウサギIgG型抗体および陰性コントロールとして精製ウサギIgGをマウスの背部皮膚に皮内注射し、その直後に抗原であるニワトリ卵白アルブミンをマウス尾静脈から静注し、皮膚で免疫複合体を形成させることによって惹起した。免疫複合体形成4時間後のエバンス・ブルー漏出によって測定した皮膚の浮腫については、L-selectin/ICAM-1ダブルノックアウトマウス、L-selectinノックアウトマウスおよびICAM-1ノックアウトマウスは、それぞれ野生型マウスに比較して有意に減弱していた。さらにICAM-1ノックアウトマウスおよびL-selectin/ICAM-1ダブルノックアウトマウスは、L-selectinノックアウトマウスに比較して有意に浮腫の減弱が認められた。8時間後の出血についても同様にL-selectin/ICAM-1ダブルノックアウトマウス、L-selectinノックアウトマウスおよびICAM-1ノックアウトマウスはそれぞれ野生型マウスに比較して有意に抑制されていた。さらに、L-selectin/ICAM-1ダブルノックアウトマウス、L-selectinノックアウトマウスおよびICAM-1ノックアウトマウスに比べて有意な出血の抑制が観察された。このような浮腫や出血の抑制は皮膚に浸潤する好中球や肥満細胞の減少と相関していた。とくに、肥満細胞数は野生型マウスで免疫複合体形成の4時間後をピークとして増加したが、ICAM-1ノックアウトマウス、ICAM-1ノックアウトマウスおよびL-selectin/ICAM-1ダブルノックアウトマウスでは、このピークは全く見られず、さらにL-selectin/ICAM-1ダブルノックアウトマウスでは8時間後も免疫複合体の形成以前と比べて肥満細胞数は増加しなかった。このように皮膚のアルサス反応による炎症は、各細胞接着分子の欠損によって有意に抑制されることが明らかとなった。
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