2001 Fiscal Year Annual Research Report
高エネルギー放電によるフラッシュX線装置の開発と応用
Project/Area Number |
13670911
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小原 春雄 東北大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (90006362)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸岡 伸 東北大学, 医療技術短期大学部, 教授 (90173947)
洞口 正之 東北大学, 医療技術短期大学部, 教授 (20172075)
大石 幹雄 東北大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (20004921)
本間 経康 東北大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (30282023)
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Keywords | フラッシュX線管 / 冷陰極放電機構 / 高速度(μ秒)X線撮影 |
Research Abstract |
本研究で試作するフラッシュX線装置は、直流高電圧装置、エネルギー蓄積コンデンサ、フラッシュX線管(陽極、陰極、トリガー電極)およびギャップスイッチトリガー発生器で構成される。冷陰極放電機構でX線は、瞬間大電流、高線量率、1μsec以下のX線曝射時間を可能とする装置である。本装置を用いることで、新生児・小児(息を止めることなく)撮影、高齢化に伴う老人および脳卒中・脊髄損傷者等を含む機能障害・能力障害の動作停止不可能な被験者の撮影で、完全静止画像が確保できる。さらに、高速度運動状態にある部位を造影することで、体内高速動態機構・体内微細構造の究明が可能である。 初年度(平成13年度)は、高エネルギー冷陰極放電機構を有するX線管の設計と試作を行った。フラッシュX極管(φ200×240mm)は、陽極、陰極、トリガー電極で構成され、管内は高真空(1mPa)に保たれる。冷陰極放電動作機構は、高エネルギー蓄積コンデンサーを充電(最大100kV)し、トリガー発生器からのパルスによりギャップスイッチに放電を誘起し、引き続き陽極-陰極間に主放電が誘起され、陽極先端から瞬間大線量率のX線を発生させる。高電圧放電による電子の衝突により溶解することが予想され、高真空に保ったまま外部より陽極-陰極間距離を調節可能とし、陽極等を交換できるようにした。X線強度は陽極金属の原子番号に影響され、高電圧放電による電子衝突のため高温となり、短時間(μ sec)負荷の場合は焦点の温度で制限を受ける。融解点が高く蒸気圧が低い金属として、陽極材料にはタングステン(W : 原子番号74、融解点3400℃)が最適である。これに加え、X線の線質(X線の実効エネルギー)を変えることで多様化を図り、セリウム(Ce : 58、795℃)、イッテルビウム(Yb : 70、1194℃)の3つの金属を選択し、適用線質に応じ随時交換できるようにした。陽極形状は焦点の縮小化可能なφ3×L10mm棒である。また、陰極材質はグラファイトを用い、X線出力窓材は250mmポリエステルフイルムを用いた。X線出力の最適条件を追及した高エネルギー放電機構の中枢であるフラッシュX線管の設計・試作を実用化に向け完成させた。
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