2002 Fiscal Year Annual Research Report
線量分布変調による回転ガントリー陽子線照射法の開発と評価に関する研究
Project/Area Number |
13670914
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
丸橋 晃 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (30114135)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻井 良憲 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (20273534)
納富 昭弘 筑波大学, 物理工学系, 講師 (80243905)
塩山 善之 九州大学, 医学部, 助手 (10323304)
|
Keywords | 陽子線 / 回転ガントリー / SOBP(拡大ブラッグピーク) / MLC(マルチリックシリメータ) / 線量分布 |
Research Abstract |
陽子線により体内に付与される線量分布は、ポーラス形状、コリメータ形状、ブラッグピーク拡大装置形状等とともにこれらの幾何学的配置状態や陽子線のエネルギーと飛程調整装置の関係など多くの因子により影響される。2年間の実験的検討を経て、回転ガントリーの特性を生かした陽子線の原体照射を簡便に実現するものとして、1)対向2門照射2)拡大ブラッグピーク幅を標的の厚さの約1/2にする照射法3)打ち抜き照射を可能にする患者コリメータの組み合わせによる照射法が現実的で望ましいものであることが得られた。 陽子線照射を対向2門で行う方法は標的に線量が付与されない危険性を基本的に排除することが可能であり、これを2)の方法と組み合わせることにより、腫瘍標的線量/正常組織線量の比を大きくするとともにDVHでみた正常組織の被曝線量の改善が実現できることが得られている。この新照射法の場合さらに、線量分布生成上の利点が示唆されている。従来法では照射野内における陽子線強度の一様性は基本的条件であるが照射野周辺近傍でこの条件を満たすことは困難な課題となっている。新照射法ではこの条件が緩和されるというよりむしろ線量分布を変調した非一様性分布を積極的に利用することがより良い線量分布を形成できる可能性が示されている。この方法に3)を組み合わせることで瓢箪型をした標的の原体照射も可能となる。50℃以下で融ける低融点合金の利用によりこの機能をもつコリメータの開発の可能性が得られている。実測データを取り込んだボーラス・コリメータ製作用の簡便な計算プログラムを4月の医学物理学会で報告した。今年度は最終年でもあり、上記の結論を論文としてまとめるとともに8月の国際医学物理学会で発表する予定である。
|