2002 Fiscal Year Annual Research Report
食道癌放射線治療最適化のための放射線心筋障害の基礎的研究
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13670915
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Research Institution | UNIVERSITY OF TSUKUBA |
Principal Investigator |
菅原 信二 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (00323296)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩村 幸雄 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (90110486)
武田 徹 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (10197311)
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Keywords | 食堂癌放射線治療 / ミトコンドリア異常 / 放射線心筋障害 / ^<123>I-BMIPPシンチグラフィー |
Research Abstract |
平成13年度はラット心臓に対しての限局した照射法を確立し,30.0Gy/3回/3週を心臓へ照射し,急性期及び亜急性期に血中BNP,血中ANPを測定と心電図で心筋障害の評価を行った.結果としては,心筋は高線量の放射線照射を行なっても急性障害が起こりにくいことが示唆されたため,平成14年度は線量を増加して,ラット心臓に限局してγ線を42.0Gy/3回/3週(α/β=10で84.0Gy/42回/8.5週)を照射した.28頭に照射を行ない,照射前,照射後3日,照射後3週,照射後10週に,1)電子顕微鏡を用いて心筋ミトコンドリア形態異常の検出,2)光顕による心筋標本を組織変化,3)^<125>I-BMIPPオートラジオグラフィーによるATP産生能の変化,4)^<201>TlClオートラジオグラフィーによる血流変化について検討した. 心臓放射線照射後の電子顕微鏡を用いて心筋ミトコンドリア形態異常の検討では,照射後3日でミトコンドリアの膨化,照射後3週でクリステの粗造化・断裂,照射後10週でクリステの消失が認められ,照射後時間が経過するに従って心筋ミトコンドリア形態異常は著明となっていった.光顕像ではいずれの時期にも変化は指摘できなかった.^<125>I-BMIPPオートラジオグラフィーでは,照射後10週で照射部位に一致しての集積低下を認めた.^<201>TlClオートラジオグラフィーではいずれの時期にも変化は指摘できなかった.以上より高線量の放射線照射による心筋障害はミトコンドリアの障害が主たる変化で,血流障害の関与は低いことが示唆された.この変化をATP産生能低下が検出できる^<125>I-BMIPPオートラジオグラフィーでとらえられたものと考えられた.従って,臨床的に放射線心筋障害の評価には^<123>I-BMIPPシンチグラフィーが有用であることが示唆された.
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