2001 Fiscal Year Annual Research Report
代謝物拡散能を利用した細胞内・外コンパートメント環境の疾患と発達による変化の検討
Project/Area Number |
13670944
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
原田 雅史 徳島大学, 医学部・附属病院, 講師 (20228654)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松崎 健司 徳島大学, 医学部・附属病院, 講師 (70274222)
森 健治 徳島大学, 医学部, 助手 (20274201)
宇野 昌明 徳島大学, 医学部, 講師 (90232884)
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Keywords | Proton MRS / 代謝物 / 拡散 / 脳梗塞 / 脳腫瘍 / コンパートメント |
Research Abstract |
代謝物拡散能を測定するために通常のproton MR spectroscopyのシークエンス(PRESS法)に拡散検出用の傾斜磁場を負荷し、また拍動の影響を除外するために脈派同期を併用した。測定後の処理においては体動による位相の変化を補正する目的で、積算前の各FIDごとに自動で位相補正を行った。 まず正常者において脈派同期の有無においてどの程度代謝物拡散能の測定値が異なるか検討した。その結果脈派同期したものは、過去の動物実験や人での報告と近く、再現性が確認された。次に正常者のほか急性期脳梗塞症例と悪性脳腫瘍症例について代謝物拡散能の測定を施行した。 その結果、急性期脳梗塞症例ではNAAの拡散能の低下と乳酸の拡散能の上昇をみとめ、悪性脳腫瘍においては正常とくらべてNAA、乳酸ともに拡散能の上昇を認めた。また最も変化が少なかった代謝物はコリン含有物質であった。 急性期脳梗塞においてはNAAの拡散能の低下からニューロン内の拡散能の低下が示唆され、神経細胞内の流動性の低下が推察された。また乳酸の拡散能が高かったことからは、細胞内よりも細胞外の存在を示唆するものと考えられた。また腫瘍におけるNAAの拡散能の変化は急性期脳梗塞と逆であり、上昇が認められた。このように疾患により代謝物の拡散能は異なり、また代謝物の種類ごとに変化の程度が異なる可能性が示唆された。これは代謝物ごとに異なるコンパートメントに存在し、その周囲の環境を反映するためと考えられた。本結果は、NMR in Biomed 15:p69-74に発表した。
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Research Products
(1 results)