2003 Fiscal Year Annual Research Report
特定遺伝子の局在と発現とをin vivoで診る核医学的手法の開発
Project/Area Number |
13670965
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中村 佳代子 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (20124480)
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Keywords | オリゴヌクレオチド / Tc-99m / アンチセンス / mdr / ジーンイメージング / 多剤耐性 / P-糖たんぱく質 |
Research Abstract |
本研究の目的は細胞内部の特定の遺伝子、または、挿入した遺伝子の生体内の局在と発現を検討するに際して、当該の臓器や組織を摘出せずに、非浸襲的にin vivoで事象を診る核医学的手法(ジーンイメージング)を開発することである。 研究はヒト類上皮癌細胞、KB-31とこれに多剤耐性遺伝子mdr-1をトランスフェクトしたKB-G2を用いて行った。これらの腫瘍細胞をヌードマウスの大腿部に接種した担癌マウスをin vivo実験のモデルとして使用した。前年度の研究成果を受けて、mdr-1に対するアンチセンスのオリゴヌクレオチド(AS)、または、センスのオリゴヌクレオチド(S)をMAG3のリガンドを用いて、Tc-99mにて標識した。 これを上記の担癌マウスに尾静脈より投与したところ; 1.腫瘍KB-31へのTc-99m-S、Tc-99m-ASの取り込みはそれぞれ(24時間後)で0.071%ID/g、0.099%ID/gであった。 2.腫瘍KB-G2へのTc-99m-S、Tc-99m-ASの取り込みはそれぞれ(24時間後)で0.058%ID/g、0.101%ID/gであった。 また、標識オリゴヌクレオチドを腫瘍内に投与した後、シンチグラフィを施行した結果; 3.腫瘍KB-31へのTc-99m-S、Tc-99m-ASの留まりと腫瘍KB-G2へのTc-99m-Sの留まりは、腫瘍KB-G2へのTc-99m-ASと比較して有意に低かった。 以上のことから、Tc-99m-標識アンチセンスが腫瘍にアンチセンス効果として特異的に取り込まれることが証明された。
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Research Products
(13 results)
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[Publications] 中村 佳代子: "遺伝子と臨床核医学(13):ウィルスとベクター"臨床核医学. 36(3). 41-43 (2003)
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[Publications] 中村 佳代子: "遺伝子と臨床核医学(14):ウィルスベクター"臨床核医学. 36(4). 59-61 (2003)
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[Publications] 中村 佳代子: "遺伝子と臨床核医学(15):復習編"臨床核医学. 36(5). 75-77 (2003)
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[Publications] 中村 佳代子: "遺伝子と臨床核医学(16):遺伝子イメージングとリポータージーン"臨床核医学. 37(1). 10-12 (2003)
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[Publications] 中村 佳代子: "医療現場は科学の実地教育現場-放射線医学教育を通して科学的な考え方を育てる-"広領域教育. 52(7). 53-57 (2003)
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[Publications] 中村 佳代子: "遺伝子診断における核医学の役割"臨床放射線. 48(4). 465-470 (2003)
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[Publications] 中村 佳代子: "Sentinel node navigation surgeryの現状と展開 各種tracerの特性:RI法"日本外科学会雑誌. 104(11). 751-754 (2003)
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[Publications] 藤井博史, 池田正, 神野浩光, 中村佳代子, 中原理紀, 久保敦司: "乳癌に対する核医学検査の現状"臨床画像. 19(9). 998-1008 (2003)
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[Publications] 藤井博史, 北川雄光, 池田正, 神野浩光, 谷川瑛子, 中村佳代子, ほか: "核医学:最近の話題と今後の期待 放射性薬剤を用いたセンチネルリンパ節ナビゲーション"映像情報. 35(12). 960-966 (2003)
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[Publications] T Suzuki, K Nakamura, T Kawase, K Kubo: "Monitoring of response to radiation therapy for human tumor xenografts using Tc-99m-HL91"Annals of Nuclear Medicine. 17(2). 131-138 (2003)
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[Publications] K Nakamura, G Liu, Y Zhang, A Kubo, DJ Hnatowich: "Antisense targeting of P-glycoprotein mdr expression in tissue culture"Journal of Nuclear Medicine. 44(Suppl). 304 (2003)
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[Publications] K Nakamura, Y Zhang, G Liu, A Kubo, DJ Hnatowich: "Targeting multidrug resistance in tissue culture with antisense DNA directed against P-glycoprotein mRNA"European Journal of Nuclear Medicine and Molecular Imaging. 30(Suppl). S217 (2003)
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[Publications] 中村 佳代子(分担): "核医学用語辞典"医薬ジャーナル社. 250 (2004)