2001 Fiscal Year Annual Research Report
PETによる側頭葉てんかんの5-HT_1AおよびGABA受容体の研究
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13670988
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
大久保 善朗 東京医科歯科大学, 大学院・保健衛生学研究科, 教授 (20213663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須原 哲也 放射線医学総合研究所, 脳診断イメージングプロジェクト, 特別上席研究員 (90216490)
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Keywords | てんかん / PET / セロトニン / GABA |
Research Abstract |
側頭葉てんかんは、成人の難治てんかんの中で最も頻度の高いてんかんである。その病理所見としては、海馬の神経細胞の消失とグリオーシスからなる海馬硬化を認める場合が多く、海馬硬化が著しい時には、薬物治療が無効で、外科的手術の適応になる場合がある。さらに、側頭葉てんかんでは、しばしば、精神分裂病様症状をはじめ、気分障害、不安障害、人格障害などのさまざまな精神症状を合併することある。さて、てんかん発作の発現機序としては、抑制性GABA系の脱抑制と興奮性アミノ酸系の伝達増強が主要な役割を果たしていると考えられているが、その他に、ノルエピネフリン系、5-HT系、アデノシン系や神経ペプチドなども発作にたいして抑制的にあるいは促進的にはたらく調節系として関連していることがわかっている。とくに、発作が反復、慢性化する経過の中で精神症状が合併する場合には、さまざまな神経伝達系の機能的な変化がおきている可能性が高い。近年の技術進歩により、PETと選択的トレーサを用いることによって、生きている人でさまざまな神経伝達系を調べることが可能になった。とくに、5-HTlA受容体とGABAA受容体は、海馬に豊富に分布しているとともに、動物実験で、海馬キンドリング発作に抑制的に働くことが知られており、側頭葉てんかんの難治化機構や精神症状発現時の関与が疑われているが、最近になって、これらの受容体に選択的なトレーサが開発され、生きている人で測定することが可能になった。 本年度は、5-HT1A受容体評価のために新規PET用トレーサ[11C]WAY 100653を用いて、てんかん患者における神経伝達異常を調べた。その結果、てんかん焦点においては脳血流や形態の変化がなくても、5-HT1A受容体の低下が認められ、焦点における抑制系の機能低下と関連すると思われた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Nakabayashi, T., Uchida S., Maehara T., Okubo Y., et al.: "Absence of sleep spindles in human medial and basal temporal lobes"Psychiatry and Clinical Neurosciences. 55. 57-65 (2001)
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[Publications] Uchida, S., Maehara T., Hirai N., Okubo Y., Shimizu H.: "Cortical oscillations in human medial temporal lobe during wakefulness and all-night sleep"Brain Research. 891. 7-19 (2001)
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[Publications] Ito H, Sudo Y, Suhara T, Okubo Y, Halldin C, Farde L.: "Error analysis for quantification of[11C]FLB 457 binding to extrastriatal D2 dopamine receptors in the human brain"Neuroimage. 13. 531-539 (2001)
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[Publications] Yasuno F, Suhara T, Okubo Y, Sudo Y, Inoue M, et al.: "Dose relationship of limbic-cortical D 2-dopamine receptor occupancy with risperidone"Psychopharmacology. 154. 112-114 (2001)
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[Publications] Ichimiya T, Okubo Y, Suhara T, Sudo y.: "Reduced Volume of the Cerebellar Vermis in Neuroleptic-Naive Schizophernia"Biological Psychiatry. 49. 20-27 (2001)
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[Publications] Okubo Y., Saijo T., Oda K.: "A review of MRI studies of progressive brain changes in schizophrenia"Journal of Medical and Dental Sciences. 48. 61-67 (2001)
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[Publications] 大久保義朗: "臨床精神医学講座 S10"中山書店. 395-409 (2000)