2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13671008
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
氏家 寛 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (90213420)
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Keywords | 覚せい剤依存 / 脆弱性 / 相関研究 / 遺伝子多型 / ドパミン受容体遺伝子 |
Research Abstract |
本邦で最も多く乱用され、また、重大な社会問題となっている覚せい剤依存、および覚せい剤精神病における遺伝子ファクターの検索を続けている。昨年に引き続き、患者ゲノムサンプルの収集を続けており、患者で30サンプル、健常者で40サンプルを新たに加え、合計患者160人、健常者200人のゲノムサンプルを集めることができた。また、患者背景、特に乱用時期、乱用方法、使用から精神病発現までの期間、治療後の改善度、フラッシュバックの有無、多剤乱用の有無などの臨床データもあわせて聴取できた。昨年検討したドパミントランスポーター遺伝子での結果について新たなサンプルを加えて再検し、昨年見出した3'非翻訳部位のVNTR多型でcommon alleleである10回リピートが患者群で少なく、特に9回リピート以下のアレルを持つものは覚せい剤精神病が遷延することを追試できた。オッズ比は4倍と強力な危険因子であった。更に、本年度ではドパミン受容体のD2,D3,D4遺伝子多型について検討した。その結果、ドパミンD3受容体遺伝子のSer9Gly多型、ドパミンD4受容体遺伝子の48bpの繰り返し多型、プロモーター部位の-521C>T多型は覚せい剤依存、精神病に相関を示さなかったが、ドパミンD2受容体遺伝子のTaqI A多型ではA1/A1遺伝子型を持つものは、有意に覚せい剤使用から精神病発病までの潜時が長く、治療後は遷延型にはなりにくく、フラッシュバックも生じにくいことがわかった。また、プロモーター部位の-141Ins/DelではDelアレルを持つものは、逆に精神病発現までの潜時が短く、そのオッズ比は5.4倍と強力な危険因子であることがあきらかとなり、個々人の予後決定に大きな影響を与えることを初めて明らかにした。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Ujike H, et al.: "Gene expression related to synaptogenesis, neuritogenesis, and MAP kinase in behavioral sensitization to psychostimulants"Ann NY Acad Sci. 965. 55-67 (2002)
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[Publications] Ujike He, et al.: "Stimulant-induced psychosis and schizophrenia : The role of sensitization"Current Psychiatry Reports. 4. 177-184 (2002)
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[Publications] Ujike H, et al.: "CNR1, central cannabinoid receptor gene, associated with susceptibility to hebephrenic schizophrenia Molecular"Molecular Psychiatry. 7. 515-518 (2002)
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[Publications] 滝本高弘: "メタンフェタミン投与ラットにおけるCYP2E1 mRNAの誘導"日本アルコール・薬物医学会雑誌. 37. 163-167 (2002)
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[Publications] 氏家 寛: "薬物依存の分子生物学"精神神経学雑誌. 104. 1055-1068 (2002)
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[Publications] 氏家 寛: "シグマ受容体と抗精神病薬"Psychoses. 8. 25-28 (2002)
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[Publications] 児玉匡史, 氏家 寛: "精神疾患、薬物依存、看護のための最新医学講座"中山書店. 430 (2002)