2002 Fiscal Year Annual Research Report
情動の分子基盤としての神経ステロイドを介した情報伝達機構の解析
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13671009
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
加賀谷 有行 広島国際大学, 医療福祉学部, 教授 (60274065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森信 繁 広島大学, 医学部, 助教授 (30191042)
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Keywords | 神経ステロイド / thapsigargin / BAPTA / 細胞内カルシウム / beta-エストラジオール / デヒドロエピアンドロステロン / デヒドロエピアンドロステロン硫酸エステル |
Research Abstract |
培養細胞C6を用いて、細胞死に関する以下の実験を行った。 (1)NaFを処置した後の細胞死について、WST-8を用いて測定したところ、NaF処置の濃度と時間に依存して、細胞死が生じた。 (2)NaFによる細胞死を、Ca2+-ATPase阻害剤であるthapshigarginが抑制した。 (3)Thapshigarginは細胞内カルシウムを上昇させることが知られているので、thapshigarignによる細胞内カルシウム上昇に対するNaFの影響を、細胞内カルシウム感受性色素fura-2を使用して検討したところ、NaFはthapshigarginによる細胞内カルシウム濃度上昇を抑制した。 (4)細胞死と関連の深い細胞内酵素caspase-3の活性と上記薬物の関係について検討した。NaFおよびthapshigarginを処置した後の細胞を破壊し、細胞質のcaspase-3活性をenzyme-linked immunosorbent assay法により測定したところ、NaFがcaspase-3活性を増加させ、thapshigarginがそれを抑制した。 (5)NaFによる細胞死に関係する細胞内情報伝達系を検索する目的で、種々の細胞内酵素の阻害薬をNaFと同時に処置した後の細胞死を検訂した。その結集、細胞内カルシウム・キレート剤であるBAPTA、細胞内カルモジュリン阻害薬であるW-7は、それ自身で細胞死を誘発した。その他に、H-89,sodium nitropruside, herbimycin A, genistein, FK506はNaFによる細胞死を抑制しなかった。 (6)向精神薬などの薬剤の効果についても検討したが、治療濃度付近の抗うつ薬であるclomipramine, citablpram, milnacipranや、lithium, nilvadipineはNaFによる細胞死を阻害しなかった。 (7)神経ステロイドであるデヒドロエピアンドロステロン、デヒドロエピアンドロステロン硫酸エステル、エストラジオールの細胞死に対する効果を観察したが、これらの神経ステロイドはNaFによる細胞死を抑制しなかった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kagaya, Katagiri, et al.: "Effect of sub-chronic treatment with duloxetine on serotonin-2A receptor function in vivo and in vitro"Biogenic Amines. 16. 541-554 (2002)
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[Publications] Uchitomi, Kagaya et al.: "Lack of association between suicidal ideation and enhanced platelet S-NTZA receptor-mediated calcium mobilization in canser patients..."Biological Psychiatry. 52. 1159-1165 (2002)
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[Publications] Katagiri, Kagaya, et al.: "Effect of repeated treatment with lamotrigine on locomotor activity and DOI-elicited wet dog shakes in rats"Biogenic Amines. (in press). (2003)
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[Publications] Nakae, Kagaya, et al.: "Serotonin-ZA receptor and the receptor-mediated signaling systems in rats : possible implication for pathophysiology of mood disorders"Current Topics in Neurochemistry. (in press). (2003)
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[Publications] 萬谷智之, 加賀谷有行: "質疑応答・インターフェロンによるうつ病の病態生理"日本医事新報. 4099. 96-97 (2002)
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[Publications] 加賀谷有行: "睡眠障害に対する診断・治療指針の紹介"広島医学. (印刷中). (2003)