2003 Fiscal Year Annual Research Report
神経性食欲不振症に対する治療プログラムの開発とその有効性についての研究
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13671020
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
野添 新一 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10117533)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成尾 鉄朗 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (70244233)
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Keywords | 摂食障害 / 神経性食欲不振症 / 神経性過食症 / グレリン / 遷延化 / 治療プログラム / EMBU |
Research Abstract |
1.はじめに 神経性食欲不振症を含む摂食障害は若年発症例から壮年例にいたるまで増加の傾向にあるが、同時に病態も変化しているので的確な治療法を構築できないまま今日に至っている。治療法を構築するに当たって重要なことは、本症の病因・病態をどのように捉えるかに関わっている。今回、本症が遷延化しやすいことに注目して、病因と病態形成のメカニズムを検討したのち、それらに基づく治療プログラムを作成した。 2.発達期における情緒調整の障害:EMBUによる調査の結果、15歳時の患者はコントロールに比して親を有意に「拒絶的」で「情緒的暖かさ」が足りない。また父親はコントロールに比して有意に「過保護(成績重視)(過干渉)」が低い。さらに母親は同じく「ひいき」において有意に高いと評価した。以上は発達期において親と患者の間の情緒交流の障害があり、それらが以後の社会発達に影響を及ぼしていると考えられた。 3.神経伝達物質であるグレリン、レプチンは病態の発展・遷延化を促進:疾病期間10年以上の症例31例についてBMI、過食・嘔吐を調べた結果、80%以上は持続的、間歇的な半飢餓状態にあった。グレリン、レプチンが二次的に病態の遷延化に関与していることが示唆された。 4.新しい治療法の提案:(1)早期治療法の確立;早期発見・治療が基本であるが、発症早期に親と子の情緒調整のための治療教育を行う。そのなかで望ましい食事スタイルを再構築する。(2)病態の進展度に応じた治療法の確立;外来治療、入院治療(極度の体重減少、栄養障害例、過食・嘔吐のくり返しによって遷延化し社会適応が障害されている例、アルコール症など合併症を有する例など)、(3)退院後のフォローアップ体制の整備。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Yasuhara D, Nozoe S, et al.: "Insuligenic index at 15 min asa maker of nutritional rehabilitation in anorexia nervosa"American Journal of Clinical Nutrition. 77・2. 292-299 (2003)
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[Publications] Yasuhara D, Nozoe S, et al.: "A characteristic reactive hypoghycemia induced by rapid change of eating behavior in anorexia nervosa"International Journal of Eating Disorders. 34・2. 273-277 (2003)
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[Publications] Tanaka M, Nozoe S, et al.: "Fasting plasma ghrelin levels in subtypes of anorexia nervosa"Psychoneuroendocrinology. 28・7. 829-835 (2003)
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[Publications] Tanaka M, Nozoe S, et al.: "Habitual binge/purge behavior influences circulating ghrelin levels in eating disorders"Journal of Psychiatric Research. 37・1. 17-22 (2003)
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[Publications] Tanaka M, Nozoe S, et al.: "Eating pattern and the effect of oral glucose on ghrelin and insulin secretin in patients with anorexia nervosa"Clinical Endocrinolosy. 54・5. 574-579 (2003)
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[Publications] 中井義勝, 野添新一, 他: "摂食障害の臨床像についての全国調査"心身医学. 42・11. 729-737 (2003)
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[Publications] 野添新一, 村永鉄郎他: "今日の病態栄養療法(摂食障害)"南江堂. 6 (2003)