2001 Fiscal Year Annual Research Report
Event-related fMRIによる前頭前野機能の評価
Project/Area Number |
13671033
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
桐野 衛二 順天堂大学, 医学部, 講師 (90276460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 令一 順天堂大学, 医学部, 名誉教授 (10053000)
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Keywords | functional MRI / 事象関連電位 / 精神分裂病 / 前頭前野 / event-related design / block design / ワーキングメモリー / ダイポール |
Research Abstract |
機能的MRI(functional MRI : 以下fMRI)の空間解像度と事象関連電位(event-related potentials : 以下ERP)の時間解像度の利点を生かし、両方法論を双補的に用いて健常者と精神分裂病(以下分裂病)の高次脳機能障害を検討した。 fMRIにおいては、event-relatedデザインへの準備段階として、今年度はブロックデザインにおいて撮像条件の調整を行った。課題は(1)ワーキングメモリー課題(2)反応競合課題(3)illusory contour(錯覚的輪郭線)認知課題(4)時間知覚課題(interval timing課題)を用いた。 健常者では(1)においては前頭前野、(2)においては前頭前野および帯状回前部、(3)においては第2視覚野、(4)においては前頭前野および線状体に、それぞれ活性を認めたのに対し、分裂病群では各部位に明瞭な活性を認めなかった。分裂病におけるcentral executive system((1)(2))、地と図の弁別や図の細部の統合((2))、秒単位における時間感覚((4))の異常がそれぞれの結果から示唆された。 ERPにおいてはfMRIデータとの統合のため、活動源推定、更に推定結果のコンピューターグラフィクスによる立体表示およびMRI画像上への重ね合わせ表示を行った。 (3)および(4)の課題においてはfMRIの所見をほぼ追従する傾向の結果を得た。(1)および(2)においてはデータを収集中である。 またERPにおいては(5)顔認知および目の動き認知課題を健常者および分裂病群において記録した。分裂病群では健常成人に比較して、各刺激カテゴリーに対し200msec付近の陰性成分の潜時が遅くなり振幅が低下する傾向があったが、特に目の動きに関してはその傾向が顕著であった。分裂病においては顔認知、特に表情に関する認知機能が低下しているものと考察された。現在(5)のfMRIにおけるデータを収集中である。 (3)(4)(5)の結果の一部は第31回日本臨床生理学会学術大会において発表した。
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