2001 Fiscal Year Annual Research Report
第5番および第6番染色体上のDNAマーカーを用いた精神分裂病の遺伝子解析研究
Project/Area Number |
13671042
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
稲田 俊也 国立精神・神経センター, 精神保健研究所・老人精神保健部老化研究室, 室長 (00184721)
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Keywords | 精神分裂病 / 遺伝 / 第5番染色体 / 第6番染色体 / DNA / マイクロサテライトマーカー / D6S287 / Hardy-Weinbengの平衡法則 |
Research Abstract |
これまでに集積された臨床遺伝学的研究から精神分裂病の発症脆弱性については遺伝的要因の関与することが示されているが,その関連遺伝子座位を見出す試みとして,われわれはDNAマイクロサテライトマーカーを用いたゲノムスキャンをすすめており,これまでに第19,20,21,22番染色体上にある34のDNAマーカーについての検討を行い,それらの結果を国際誌に報告してきた(Kitao et al.,2000)。本年度は精神分裂病群(n=130)と健常対照群(n=161)の2群間で,第5,6番染色体上にある40のDNAマイクロサテライトマーカーを用いて,それらのアリル分布頻度の違いについて症例対照群間比較検討を行った。その結果,健常者群におけるD5S400,D6S426,D6S434のheterozygosity出現頻度は,Hardy-Weinbergの平衡法則から得られた理論値よりも有意に低かった。またheterozygosityの出現頻度は,40のDNAマーカーのうち18部位で日仏間において有意な人種差が認められた。精神分裂病群と健常対照群との群間比較ではD6S287においてBonferroniの多重比較補正後も有意な差(α<0.0013)が認められた。以上より,D6S287の近傍に精神分裂病の発症脆弱性に関連する遺伝子の存在する可能性が考えられ,今後更にこの近傍に位置する遺伝子について精神分裂病との関連について検討する必要があるものと考えられた。
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