2001 Fiscal Year Annual Research Report
変異分子細胞内集積型モデルを用いた先天性アンチトロンビン欠乏症の分子病態解析
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13671054
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
小澤 哲夫 富山医科薬科大学, 医学部附属病院, 助手 (80262525)
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Keywords | アンチトロンビン欠乏症 / 細胞内蓄積 / ラッセル小体 / ジスルフィド結合 |
Research Abstract |
これまでに研究者はI型アンチトロンビン(AT)欠乏症の原因となる変異型ATCys95Argの安定発現CHO細胞株を樹立しその細胞内分子動態を解析することにより、変異AT分子Cys95Argはプロテアソーム系で細胞内分解されるであろうという事前の予想に反して、細胞内分解をうけることなく高マンノース型糖鎖のまま細胞質内に蓄積することを明らかにした。平成13年度は、さらにこの蓄積部位を詳細に検討したところ、変異分子は細胞質内に様々な大きさの顆粒状構造を形成して蓄積しており、その一部にはリボソームが結合していることを確認した。このような変異AT分子の蓄積物の形態は、従来より報告されているラッセル小体に類似している。 さらに、変異AT分子の蓄積機構を解明するために次のような実験を行った。 正常AT分子には3ケ所の分子内ジスルフィド結合が存在するが(Cys8-Cys128, Cys21-Cys95, Cys247-Cys430)、ATCys95Arg変異では、ジスルフィド結合に関与しないCys残基が生じる。そこで、変異分子の細胞内蓄積に果たすCys残基の役割を解析するためにCys95以外のCys残着をArgに置換したコンストラクトを作製し安定発現CHO細胞株を樹立した。その結果、各変異AT分子はATCys95Argと同様に細胞内に蓄積することが明らかになり、Cys残基の重要性が推定された。また、興味深いことにジスルフィド結合を形成するCysを両方とも他のアミノ酸に置換すると、細胞外に分泌されることも明らかになった。 上記のように、平成13年度にはAT分子内ジスルフィルド結合を形成するCys残基の1個が置換することが、変異分子の細胞内蓄積に重要な役割を果たしていることを明らかにした。また、変異分子の蓄積様式がラッセル小体に類似していることを明らかにした。
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