2002 Fiscal Year Annual Research Report
好中球が血管内皮細胞結合部をtransmigrateする機序の解明
Project/Area Number |
13671061
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
笹田 昌孝 京都大学, 医療技術短期大学部, 教授 (30144364)
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Keywords | 好中球 / 遊走 / トランスミグレーション / 血管内皮 / NO |
Research Abstract |
骨髄で産生された好中球は血中へと流出し、続いて血管壁を通過して組織へと向かう。好中球が血管壁を通過する機序としては、まず好中球がセレクチンを介して血管内皮細胞と弱い接着を起こして血管内皮細胞(HUVEC)表面をrollingする。続いてβ2インテグリンやICAM-1をはじめとする接着分子を介してHUVECと強く粘着し、やがて好中球は血管内皮細胞間を通り抜けて組織に到達する(トランスミグレーション)。これらの過程は接着分子の作用や液性因子によって複雑に調節される。調節因子の1つとしてNOが重要な役割を果たしている可能性が指摘されている。そこで好中球がHUVECをトランスミグレートする機序の1つとして、NOによる制御機構を明らかにすることとした。 研究の目標は(1)NOはどこで産生されるのか、(2)NOはどこに作用するのか、(3)NOはどのように好中球のトランスミグレーションを制御するのか、を明らかにすることである。まず(1)NOの産生部位はHUVECであることを以下の所見から結論づけた。(NOを添加すると好中球のトランスミグレーションは抑制されること、NO消去剤で増強すること、NO産生阻害剤によってHUVECを処理すると増強すること。)(2)NOが作用する部位としては好中球と考えた。(NOを産生するHUVECと作用させた時、好中球内にNOが確認される。NOを添加すると好中球のトランスミグレーションは抑制される。HUVECにNOを作用させても好中球のトランスミグレーションは変化しない。)これらの所見は(1)のNOがHUVEC由来であることを支持した。(3)NOが作用した好中球内に起こる変化として、guanylate cyclaseが活性化されること、そしてこれがトランスミグレーションに重要な役割を果たすことを確認した。 以上より、本研究の目標である(1)、(2)、(3)を達成し、好中球が血管内皮細胞をトランスミグレートする機序の一部を明らかにした。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Arai T, Sasada M, et al.: "6-Formyipterin, a xanthine oxidase inhibitor, intracellularly generates reactive oxygen species involved in apoptosis and cell proliferation"Free Rad Biol Med. 30(3). 248-259 (2001)
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[Publications] Yamashita K, Sasada M, et al.: "6-formylpterin intracellularly generates hydrogen peroxide and restores the impaired bactericidal activity of human neutrophils"Biochem Biophys Res Commun. 289(1). 85-90 (2001)
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[Publications] 笹田昌孝: "好中球による感染制御"血液・免疫・腫瘍. 74(4). 26-31 (2002)
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[Publications] Yoshinaga-Ohara N, Sasada M, et al.: "Spatiotemporal regulation of moesin phosphorylation and rear release by Rho and serine/threonine phosphatase during neutrophil migration"Exp Cell Res. 278(1). 112-122 (2002)
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[Publications] Kobayashi S, Sasacla M, et al.: "Calpain-mediated XIAP degradation in neutrophil apoptosis and its impairment in chronic neutrophilic leukemia"J Biol Chem. 227(37). 33968-33977 (2002)