2002 Fiscal Year Annual Research Report
テトラサイクリン制御性発現系を用いた常染色体優性多発性嚢胞腎モデルマウスの作製
Project/Area Number |
13671093
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
望月 俊雄 北海道大学, 大学院・医学研究科, 講師 (00277120)
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Keywords | 多発性嚢胞腎 / PKD遺伝子 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
常染色体優性遺伝性多発性嚢胞腎(ADPKD)はPKD1遺伝子あるいはPKD2遺伝子の異常を原因とする、最も頻度の高い遺伝性腎疾患である。今回私は、ADPKDの病態解明ならびに将来的な治療へ向けて、pkd1遺伝子をターゲットとする疾患モデルマウスの作製に取り組んだ。 1.昨年度クローニングしたマウスpkd1遺伝子(全長cDNA)を発現ベクターに組み込み、培養尿細管細胞に遺伝子導入し、その蛋白発現を確認した。それを受精卵へ注入しトランスジェニック(Tg)マウスの作製を試みているが、大きな(約13kb)遺伝子であるためか、難航している。テトラサイクリン制御性発現系pkd1モデルマウスに必須であるpkd1-Tgマウスの作製が困難なことが予想されたため、疾患モデルとして後述するダブルノックアウトキメラマウスの作製を念頭に置き、まずGFP(Green fluorescent protein)遺伝子をノックインさせ、pkd1遺伝子をノックアウトするターゲティングベクターを作製した。それをマウス胚性幹細胞(ES細胞)に導入し、得られた相同組み換え体を持つES細胞を用いて、pkd1ノックアウト・GFPノックインマウスを作製した。現在はヘテロマウスの段階であり、今後は交配により系列化したホモマウスおよびヘテロマウスを作製しその解析を行う。 2.ES細胞においてpkd1の2つの遺伝子対が両方ともノックアウトされるpkd1遺伝子ダブルノックアウト細胞を上述の相同組み換え体を利用して作製した。今後はその陽性ES細胞をマウス初期胚に導入し、偽妊娠マウスに移植し、pkd1遺伝子ダブルノックアウトキメラマウスを作製する。このマウスはpkd1遺伝子の発現が全くない(null)細胞と正常細胞が混在するため、PKD遺伝子のツーヒットが原因とされるヒト多発性嚢胞腎(ADPKD)に近い病態を示すことが予想される。
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