2002 Fiscal Year Annual Research Report
食餌性リン負荷の副甲状線への直接作用-その副甲状線増殖作用と機能異常の機序の解明
Project/Area Number |
13671122
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Research Institution | OSAKA CITY UNIVERSITY |
Principal Investigator |
稲葉 雅章 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (00176405)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今西 康雄 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (50326253)
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Keywords | 原発性副甲状腺機能亢進症 / 食餌性リン負荷 / cyclin D1癌遺伝子 / 高回転骨 |
Research Abstract |
慢性腎不全においては、血清リン(P)値のコントロール不良によって2次性副甲状腺機能亢進症が進展することが知られている。しかし、原発性副甲状腺機能亢進症における食餌性P負荷の意義についての詳細は明らかではない。今回我々は、原発性副甲状腺機能亢進症モデルマウスであるPTH-cyclin DI transgenic mice (PC2 mice)を用いて、食餌性P負荷の副甲状腺に対する効果を検討した。本モデルマウスは、ヒトcyclin D1癌遺伝子を副甲状腺組織特異的に発現させることで、副甲状腺過形成を生じ、生化学的な副甲状腺機能亢進症を呈する。また、高回転骨の骨組織像も呈し、ヒトの副甲状腺機能亢進症における骨の変化と一致する。 食餌性P負荷の影響を検討するために、雌性11週齢のコントロールマウス(WT)ならびにPC2マウスを群分けし、各群についてP組成の異なる餌で飼育した(第一群WT; Ca:0.6%、P:0.6%、第二群WT; Ca:0.6%、P:0.9%、第三群PC2; Ca:0.6%、P:0.6%、第四群PC2; Ca:0.6%、P:0.9%、第五群PC2; Ca:0.6%、P:1.2%)。摂餌開始時(day 0)、day 11、21、39、47、88と経時的に採血し血清Ca、P、PTH値を測定した。血清P値は、第五群PC2; Ca:0.6%、P:1.2%でday11から39にかけて上昇傾向を示したが、day47以降は各群で差は認められなかった。血清Ca値は摂餌開始時からday47まではWTとPC2マウスで差は認められなかったが、day88ではPC2マウスで上昇傾向が認められた。Day 88での血清PTH値は、第一群;79.2、第二群;117.5、第三群;53.6、第四群;68.8、第五群;182.0 (平均値、pg/mL)と、食餌中のP含量が増加するにともないWT、PC2マウス共に上昇した。本試験結果から、P摂取量の増加が副甲状腺機能亢進に寄与していることが示された。また、P摂取量の増加は、血清P値の上昇を伴わない何らかの機序を介し細胞増殖ならびにPTH分泌亢進に寄与していると考えられた。
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