2002 Fiscal Year Annual Research Report
近位尿細管に在存する有機アニオントランスポータの臨床的意義の解明
Project/Area Number |
13671128
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
武田 理夫 杏林大学, 医学部, 助教授 (40255401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 仁 杏林大学, 医学部, 教授 (20101115)
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Keywords | ヒト有機アニオントランスポータ / ヒト有機カキオントランスポータ / 薬物輸送 / 近位尿細管 / 尿細管分泌 / 臨床的意義 / 安定発現細胞 |
Research Abstract |
有機アニオントランスポータ(OAT)、有機カチオントランスポータ(OCT)は腎での薬物の尿細管分泌において重要である。ヒト、ラットOAT1(hOAT1、rOAT1)、hOAT2、hOAT3、rOAT3、hOCT2は近位尿細管基底側に存在し、薬物の尿細管内への取り込みに、hOAT4は上皮側に存在し薬物の再吸収、尿中排泄に関与すると考えられている。本年度は、これらのトランスポータの安定発現細胞を用いて以下の成果が得られた。 (1)尿毒症毒素インドキシル硫酸(IS)の輸送、腎障害発症機構の解明 rOAT1、3がISを輸送した。rOAT1、3安定発現細胞にISを添加すると細胞生存率が低下し、それは有機アニオン輸送阻害薬により回復した。In vivoでは、尿毒症ラットにISを投与すると、rOAT1、3、ISが近位尿細管の同じ部位に染色され、腎障害の増悪が認められた。すなわち、rOAT1、3は近位尿細管基底側でのISの取り込み、腎障害の増悪に関与すると示唆された。 (2)OAT阻害薬のhOAT2、4阻害作用の解析 カルバペナム系抗生物質との合剤として用いられているベタミプロン、シラスタチン、尿酸排泄促進薬プロベネシドがin vivoでhOAT2、4を阻害するかの予測を試みた。阻害定数と薬物血中濃度を比較した結果、プロベネシドがin vivoでhOAT4を阻害すると予測された。 (3)非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の尿細管分泌の責任分子の同定 検討した12種類のNSAIDは、種々の程度でhOAT1、2、3、4、hOCT、2と相互作用を示した。またサリチル酸はhOAT1、2、3、4、イププロフェン、インドメタシンはhOAT1、3、ケトプロフェンはhOAT1、3、4により輸送された。 以上の成果は、薬物輸送の分子機構が明らかにするのみならず、危険な薬物相互作用を回避したより有効で安全な薬物治療を行う上で有用な情報となる。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Takeda M et al.: "Characterization of methotrexate transport and its drug interaction by human organic anion transporters"Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics. 302. 666-671 (2002)
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[Publications] Enomoto A et al.: "Role of organic anion transporters in the transport of indoxyl sulfate and the induction of its nephrotoxicity"Journal of American Society of Nephrology. 13. 1711-1720 (2002)
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[Publications] Enomoto A et al.: "Molecular identification of a renal urate/anion exchanger that regulates blood urate levels"Nature. 417. 447-452 (2002)
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[Publications] Enomoto A et al.: "Interactionof human organic anion transporter 2 and 4 with organic anion transport inhibitors"Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics. 301. 797-802 (2002)
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[Publications] Khamdang.S et al.: "Interactions of human organic anion transporters and human organic cation trasnporters with nonsteroidal anti-inflamatory drugs"Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics. 303. 534-539 (2002)
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[Publications] Ichida K et al.: "Urate transport via the human PAH transporter hOAT1 and its gene structure"Kidney International. 63. 143-155 (2003)
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[Publications] 武田理夫: "Annual Review 腎臓2003腎での薬物輸送の分子機構とその臨床的意義"中外医学社. 7 (2003)