2001 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝性運動失調発症機序の解明 ―ミュータントマウスを用いての解析―
Project/Area Number |
13671139
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
福井 義浩 徳島大学, 医学部, 教授 (50144168)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂田 ひろみ 徳島大学, 医学部, 助手 (50294666)
澤田 和彦 徳島大学, 医学部, 助教授 (10284324)
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Keywords | ローリングマウス / 運動失調 / CRF / チロシン水酸化酵素 / 小脳 / 登上線維 / 苔状線維 / ミュータントマウス |
Research Abstract |
ローリングマウス(RMN)は運動失調を呈するミュータントで、P/Q型ca^<2+>チャンネルα_<1A>サブユニットをコードする遺伝子に変異を持つ。CRF(corticotropin-releasing factor)は、小脳では内側副オリーブ尾側部由来の登上線維や二次前庭小脳路に属する苔状線維などに多く含まれ、平衡感覚の調節に深く関与している。RMN小脳におけるCRF陽性線維の分布とその起始細胞でのCRF発現を調べ、CRFの運動失調発症への関与を検討した。 成体RMNをブアン液で灌流固定し、小脳と脳幹の前頭断切片を作製し、抗CRF抗体を用いて免疫染色を行った。RMN小脳では、一部の登上線維と苔状線維の終末が対照マウスに比べて強いCRF陽性を示した。しかし、これらCRF陽性線維の分布に異常はみられなかった。また、登上線維の起始核である下オリーブ核の一部の亜核では、RMNで正常マウスに比べて強いCRF陽性反応がみられた。更に、抗CRF抗体と抗チロシン水酸化酵素(TH)抗体を用いて免疫二重染色を行い、CRF陽性線維の投射領域とTH陽性プルキンエ細胞の分布の関係を調べた。RMN小脳では、CRF陽性登上線維が投射するプルキンエ細胞でTHの異常発現がみられた。 登上線維や苔状線維のCRFは、標的神経細胞のグルタミン酸への感受性を高める。また、登上線維のCRFは平行線維-プルキンエ細胞間のシナプス伝達の長期抑制(LTD)を誘導する。CRFの染色性から、RMN小脳では一部の登上線維終末と苔状線維終末のCRF含量が高く、CRFによりプルキンエ細胞や顆粒細胞の興奮性が高まったり、LTDが発現して運動失調を引き起こすと考えられる。また、CRFとTHの二重染色から、登上線維のCRFがプルキンエ細胞でのTH発現異常に関与していることが示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Sawada, K: "Topological relationship between corticotrophin-releasing factor-immunoreactive cerebellar afferents and tyrosine hydroxylase-immunoreactive Purkinje cells in a liereditary ataxic mutant, rolling mouse Nagoya"Neuroscience. 102. 925-935 (2001)
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[Publications] Sawada, K: "An increased expression of Ca^<2+> channel α_<1A> subunit immunoreactivity in deep cerebellar neurons of rolling mouse Nagoya"Neuroscience Letters. 316. 87-90 (2001)
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[Publications] Sawada, K: "Expression of tyrosine hydroxylase in cerebellar Purkinje cells of ataxic mutant mice : its relation to the onset and/or development of ataxia"Journal of Medical Investigation. 48. 5-10 (2001)
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[Publications] 澤田和彦: "Ca^<2+>チャンネル病マウスにおける小脳の異常と運動失調"四国医学雑誌. 57. 218-226 (2001)