2002 Fiscal Year Annual Research Report
近赤外光超高速測定による新生児脳組織の光学定数の発達的変化に関する研究
Project/Area Number |
13671140
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Research Institution | Kanagawa University (Faculty of Medicine) |
Principal Investigator |
磯部 健一 香川医科大学, 医学部, 助教授 (00159815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
難波 正則 香川医科大学, 医学部, 助手 (90237636)
日下 隆 香川医科大学, 医学部附属病院, 講師 (50274288)
今井 正 香川医科大学, 医学部附属病院, 講師 (60176477)
河田 興 香川医科大学, 医学部附属病院, 助手 (40284369)
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Keywords | 低出生体重児 / 近赤外時間分解分光測定 / 散乱係数 / 吸光係数 / 平均光路長 / Pathlength factor / 脳内ヘモグロビン濃度 / 脳内ヘモグロビン酸素飽和度 |
Research Abstract |
頭蓋内病変の無い未熟児・新生児と低酸素性虚血性脳症の1例について光学パラメータの散乱係数(μ_s')、吸光係数(μ_a)と平均光路長および脳組織内ヘモグロビン酸素飽和度(SbO_2)とヘモグロビン(Hb)量を近赤外光の3波長を用いた時間分解分光測定装置で測定した。 1 頭蓋内病変を有しない未熟児・新生児の検討 10例の在胎週数は26〜38週、出生体重は665〜2506g。測定日齢は1〜87、修正在胎週数は29〜44週であった。760、800、830nmのμ_s'は、各々5.32±1.10(mean±SD、n=17)、5.24±1.22、5.51±1.22/cmで、μ_aは各々0.098±0.013、0.085±0.012、0.113±0.016であった。平均光路長は送受光ファイバー間距離(D)が各新生児で異なるので、differential pathlength factor(DPF)=平均光路長/Dで検討した。760、800、830nmのDPFは、各々5.07±0.72、5.24±0.78、4.86±0.70であった。脳内Hb濃度について、酸素化Hb、脱酸素化Hb、総Hbは各々28.0±5.8、10.7±2.1、38.7±6.5μMで、脱酸素化Hbは修正在胎週数と有意な正の相関(r=-0.58)を示した。SbO_2は82〜58%で、修正在胎週数と有意な負の相関(r=-0.70)を示した。脳の発達による酸素消費量の増加が考えられた。 2 低酸素性虚血性脳症の成熟児で生後8時間より経時的に測定した。脳内総Hbは45μMから日齢1に60μMまで増加し、SbO_2は70%から82%まで上昇し、仮死後の再還流を検出できた。μ_s'は日齢4まで8〜9/cmと高値を示し以後減少した。これは脳浮腫の影響が考えられた。 今回は年長児の測定ができなかったので新生児期以降の発達的変化を明らかにすることが不可能であったが、今後症例数を増やして新しい検査法としての有用性を確立したい。
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