2003 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素脳におけるサイトカインの発現と血管内皮細胞傷害に関する免疫組織学的研究
Project/Area Number |
13671141
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
長谷川 功 京都府立医科大学, 医学研究科, 講師 (80228444)
|
Keywords | 低酸素性脳障害 / 一酸化窒素 / ニトロチロシン / サイトカイン / フリーラジカル消去剤 |
Research Abstract |
【目的】低酸素性虚血性脳障害においてサイトカインが重要な役割を果たしていることが報告されているが、サイトカインの生成細胞、作用機序は明らかではない。今回はサイトカインとNOの脳障害発生への関与を検討し、脳障害の治療に結びつけることを最終目的として研究を計画した。 【対象と方法】(1)新生仔ラット大脳皮質スライス灌流モデルを用い、30分間の低酸素またはNMDA負荷を行う。スライスは負荷前と負荷後4時間まで時間を決めて採取する。採取したスライスの凍結切片を作成し、抗IL-1β抗体で免疫染色した。(2)NOSinhibitorとしてnNOS選択性の7-nitroindazole(7NI)を、低酸素負荷60分前から低酸素負荷終了まで灌流液中に混合する。凍結切片を作成し、peroxynitrite生成のマーカーであるニトロチロシン(NT)染色を行った。(3)フリーラジカル消去剤であるエタラボン(MCI-186)を、NMDA負荷60分前から低酸素負荷終了まで灌流液中に混合し、同様の手技で凍結切片を作成しTUNEL染色を行い、アポトーシスの指標であるTUNEL陽性細胞を観察した。 【結果】(1)低酸素またはNMDA負荷後15分から30分をピークにIL-1β陽性細胞が血管内皮細胞とグリア細胞に認められたが、神経細胞は染色されなかった。(2)7NI投与ではHE染色で組織障害の改善は認められず、NT陽性細胞数にも変化がなかった。(3)NMDA負荷4時間後でTUNEL陽性細胞の増加が見られたが、エタラボン投与によりTUNEL陽性細胞は有意に減少した。 【考察】低酸素脳障害早期のNO生成はnNOSの関与が少なく、その時点のNOは直接組織障害に関与していないと思われた。エタラボン投与で負荷4時間後のTUNEL陽性細胞が減少したことは負荷後早期に発生するサイトカインがNOを介し、アポトーシスのシグナルとなっていることが示唆された。
|
Research Products
(1 results)