2003 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン開口放出過程における膜蛋白のacylationの意義に関する研究
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13671151
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
駒津 光久 信州大学, 大学院・医学研究科, 講師 (90221978)
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Keywords | インスリン分泌 / 糖尿病 / 蛋白のアシル化 / cAMP |
Research Abstract |
平成15年度は、本研究課題において大きな成果の得られた年である。我々は、従来よりブドウ糖がKATPチャネルの閉鎖とは別のメカニズムでインスリン分泌を刺激しうることを見い出し、その特性やメカニズムについて研究してきたが、その分子基盤につながる成績を発表できた。(Endocrinology 144:5232-5241,2003)コラゲナーゼ法を用いてラットから単離した膵ランゲルハンス島を、^3H-パルミチン酸を用いてラット膵β細胞の代謝ラベルをおこなうと数種類の蛋白がラベルされ、それらが生化学的にpalmitoylationであることを証明した。そのうち24KDの蛋自はブドウ糖などの栄養素で特異的にラベル量が制御されることがわかった。その後これらのpalmitoylationをうける一群の蛋白の同定やその特性について検討している。現在、膵ランゲルハンス島の蛋白を、SDS 2次元電気泳動を基盤としたプロテオーム解析をおこなう準備段階である。 一方、糖尿病におけるインスリン初期分泌の低下のメカニズムについても基礎実験のレベルで検討した。初期糖尿病患者特徴的な、インスリン分泌遅延については、いくつかの総説を記したが、cAMPシグナルが、この初期分泌の維持に極めて重要であることを海外の学会で報告した。この知見は、将来の糖尿病治療薬の開発や、その理論的背景を支えるものであり、現在論文執筆中である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Yamada S, Komatsu M et al.: "Nutrient modulation of palmitoylated 24KDa protein in rat pancreatic islets"Endocrinology. 144. 5232-5241 (2003)
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[Publications] Katakura M et al.: "Prospective analysis of mortality, morbidity, and risk factors in elderly diabetic, Nagano study"Diabetes Care. 26. 638-644 (2003)
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[Publications] 佐藤吉彦, 駒津光久他: "血糖値1556mg/dlでありながらケトアシドーシス,非ケトン性高浸透圧性昏睡を呈さなかった糖尿病の1例"糖尿病. 46. 437-440 (2003)
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[Publications] 駒津光久, 相澤徹: "≪2型糖尿病では何が起っているか≫膵β細胞-インスリン初期分泌の低下とは-"内科. 9. 35-39 (2003)
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[Publications] 駒津 光久: "重症の糖尿病性網膜症を有する患者の内科的管理の注意点"糖尿病診療のコツと落とし穴. 30 (2003)
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[Publications] 相澤徹, 山田恵史, 駒津光久: "糖尿病のすべてがわかる本"糖尿病を3段階で治療する。糖尿病のすべてがわかる本. 140-163 (2003)