2004 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン開口放出過程における膜蛋白のacylationの意義に関する研究
Project/Area Number |
13671151
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
駒津 光久 信州大学, 大学院・医学研究科, 講師 (90221978)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 恵史 信州大学, 医学部附属病院, 講師 (30191191)
相澤 徹 信州大学, 健康安全センター, 教授 (90150896)
|
Keywords | 2型糖尿病 / インスリン分泌 / 蛋白のアシル化 / cAMP |
Research Abstract |
平成16年度は昨年の成果を発展させ、将来につながるあらたなデータの得られた年である。平成15年度には、コラゲナーゼ法によりラットから単離した膵ランゲルハンス島を^3H-パルミチン酸を用いて代謝ラベルをおこなうと数種類の蛋白がラベルされ、それらが生化学的にpalmitoylationであることを証明した。そして、そのうち24KDの蛋白はブドウ糖などの栄養素で特異的にラベル量が制御されることを報告した(Endocrinology 144:5232-5241,2003)。平成16年度は、これらのpalmitoylationをうける一群の蛋白の同定やその特性について検討した。サンプル調整の容易さなどを考慮して、まず膵β細胞株であるINS-1細胞を用いてプロテオーム解析をおこなった。その結果、acylation inhibitorであるceruleninの処置で消失するスポットを2つ同定した。質量分析の手法を用いて、これら2つのスポットを形成する蛋白のアミノ酸配列を決定した。これらはいずれも、細胞内骨格であるアクチン重合に関与する蛋白であった。現在、膵ランゲルハンス島の蛋白をもちいて、SDS2次元電気泳動を基盤としたプロテオーム解析をおこなうことで、これらの蛋白のインスリン開口放出過程における生理的役割について検討をすすめている。 一方、インスリン開口放出に関して新たな現象を見いだしたことも平成16年度の成果である。従来はインスリン分泌を惹起するためには細胞内Ca2+濃度の上昇が一義的に重要と考えられていたが、cAMP刺激が十分存在すれば、ブドウ糖などの栄養素は、細胞内Ca2+の上昇がなくても、すみやかなインスリン分泌を惹起することが明らかとなった。早期2型糖尿病患者にみられるインスリン初期分泌の低下の病態生理を考えるうえできわめて興味深い現象と考えている。今後、その特性や分子基盤についても研究を重ねたい。
|
Research Products
(4 results)