2001 Fiscal Year Annual Research Report
新規内臓脂肪由来内分泌因子による動脈硬化発症機構の解析
Project/Area Number |
13671155
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木原 進士 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (20332736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 正 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90252668)
船橋 徹 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (60243234)
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Keywords | 動脈硬化 / 内臓脂肪 / Visceroadipotropin / 血管内皮細胞 / 単球遊走因子 / マクロファージ / 冠動脈疾患 |
Research Abstract |
現代の我が国において動脈硬化性疾患が著増している背景には、過栄養と運動不足による体脂肪過剰蓄積が存在する。私達は、内臓脂肪の過剰蓄積が臨床的に最も頻度の高い動脈硬化の発症基盤であることを明らかにしてきた。そして、ヒト内臓脂肪組織と皮下脂肪組織のDifferential Display法によるcDNAクローニングを行い、ヒト内臓脂肪組織に高発現する分泌蛋白であるVisceroadipotropinを見出した。 肥満モデルマウスにおけるVisceroadipotropin mRNAレベルは、皮下脂肪に比し内臓脂肪で有意に増加しており、リコンビナント蛋白を用いた検討でVisceroadipotropinは3T3L1脂肪細胞の分化促進作用を有していた。従って、本分子はオートクライン、パラクラインに作用する内臓脂肪蓄積因子である可能性が示された。 Visceroadipotropinの培養血管壁構成細胞に対する作用を検討したところ、リコンビナント蛋白は血管内皮細胞における単球遊走因子の分泌を増加させた。血管におけるマクロファージの集積は、動脈硬化の発症進展に重要である。従って、本分子はエンドクラインに作用する動脈硬化促進因子である可静性が示された。 ヒトにおけるVisceroadipotropin血中濃度の意義を明らかにするために、サンドイッチELISA法によるヒト血中濃度測定系を確立した。ウェスタンブロット法による予備研究において本分子の血中濃度は、冠動脈疾患症例において高値であったことから、多数の症例におけるVisceroadipotropin血中濃度定量、および内臓脂肪蓄積量や既知の動脈硬化危険因子との統計学的解析を進行中である。 本分子は、内臓脂肪過剰蓄積に基づく動脈硬化症発症に重要であり、動脈硬化症の診断治療に応用しうる可能性が示された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Nakanura T: "Thiazolidinedione derivative improves fat distribution and multiple risk factors in subjects with visceral fat accumulation--double-blind placebo-controlled trial"Diabetes Res Clin Pract. 54. 181-190 (2001)
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[Publications] Kishida K: "Enhancement of the aquaporin adipose gene expression by a peroxisome proliferator-activated receptor gamma"J Biol Chem. 276. 48572-48579 (2001)
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[Publications] Maeda N: "PPARgamma ligands increase expression and plasma concentrations of adiponectin, an adipose-derived protein"Diabetes. 50. 2094-2099 (2001)
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[Publications] Kishida K: "Genomic structure and insulin-mediated repression of the aquaporin adipose(AQPap), adipose-specific glycerol channel"J Biol Chem. 276. 36251-36260 (2001)
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[Publications] Hotta K: "Galectin-12, an Adipose-expressed Galectin-like Molecule Possessing Apoptosis-inducing Activity"J Biol Chem. 276. 34089-34097 (2001)
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[Publications] Ouchi N: "Adipocyte-derived plasma protein, adiponectin, suppresses lipid accumulation and class A scavenger receptor expression in human monocyte-derived macrophages"Circulation. 103. 1057-1063 (2001)