2002 Fiscal Year Annual Research Report
甲状腺ホルモン受容体欠損マウスを用いた、甲状腺ホルモンの骨・軟骨作用の解析
Project/Area Number |
13671166
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Research Institution | Koshien University |
Principal Investigator |
田中 清 甲子園大学, 栄養学部, 教授 (90227132)
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Keywords | 甲状腺ホルモン / 成長板軟骨 / 破骨細胞 / 脱ヨード酵素 / ビタミンD3 |
Research Abstract |
成長期において甲状腺ホルモン欠乏は低身長の原因となり、成人では甲状腺ホルモン過剰は過剰な骨吸収により骨粗鬆症の原因となる。その分子機構解明のため、成長板軟骨の伸長・破骨細胞形成に対する甲状腺ホルモンの作用を検討した。 甲状腺ホルモンにはT4・T3があるが、T3が活性型であり、T4はプロホルモンである。成長板軟骨細胞の特質を保持するマウスATDC5細胞において、甲状腺ホルモンは軟骨の分化マーカーに対してすべて促進的に働いた。甲状腺ホルモン受容体(TR)は成長板軟骨において発現されており、T4は軟骨局所でT3に活性化された。この反応は酵素iodothyronine deiodinase type-II (D2)によって触媒されると考えられた。さらにマウス長管骨器官培養においてT3は長管骨の長軸方向への伸長を促進した。D2はATDC5細胞の分化後期において強く発現されており、成長板軟骨細胞の後期分化のためにD2による甲状腺ホルモン活性化が必須であることが示唆された。 次に骨芽細胞・骨髄細胞の共存培養系を用いて検討したところ、T3は単独では破骨細胞を形成できなかったが、破骨細胞形成のkey moleculeであるRANKL (Receptor Activator of Nuclear Factor-κB Ligand)遺伝子発現を誘導し、さらにビタミンD3による破骨細胞形成を著明に促進した。骨芽細胞においてD2の発現が見られ、D2の遺伝子発現はビタミンD3によって著しく促進された。これらの結果から破骨細胞形成における甲状腺ホルモンとビタミンD3の新しい相互作用の存在が示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 三浦晶子, 田中清 (他): "Thyroid hormones promote chondrocyte differentiation in mouse ATDC5 cells and stimulate endochondral ossification in fetal mouse tibias through iodothyronine deiodinases in the growth plate"J Bone and Mineral Res. 17(3). 443-454 (2002)
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[Publications] 三浦晶子, 田中清 (他): "A novel interaction between thyroid hormones and 1,25(OH)_2D_3 in Osteoclast formation"Biochem Biophys Res Commun. 291. 987-994 (2002)