2002 Fiscal Year Annual Research Report
神経栄養因子(Neurotrophin)による脳血管新生の制御
Project/Area Number |
13671177
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Research Institution | CHIBA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
龍野 一郎 千葉大学, 大学院・医学研究院, 講師 (80282490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐伯 直勝 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (30143275)
内田 大学 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (80323426)
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Keywords | 脳血管内皮細胞 / 酸化LDL / Neurotrophin / Neurotrophin受容体 / 増殖 / NO / PACAP / クロストーク |
Research Abstract |
平成13年度、ラット脳より脳血管内皮細胞の分離培養を脳血管内皮細胞の指標としてr-GTP活性を指標としPercol gradient法の改良法を用いて血管内皮細胞の確立を行なった。酸化LDLの取り込み能やVon Willebrand因子の発現などより、培養した細胞が血管内皮細胞の特異形質を保持していることを確認した。続いて、Nerve growth factor (NGF)ファミリィー(Neurotrophin, NT)であるNerve Growth Factor (NGF)、Brain derived Neurotrophic Factor (BDNF)、Neurotrophic Factor-3 (NT3)の受容体である3種のTrkの発現をmRNAレベル、蛋白レベルで、大動脈血管内皮細胞と比較しながら検討した。その結果、脳血管内皮細胞および大動脈血管内皮細胞のいずれにおいても、NGFの受容体であるTrkA、BDNFの受容体であるTrkB、NT3の受容体であるTrkCの3種類の受容体mRNAの発現をRT-PCR法を用いて確認した。また、蛋白レベルの発現に関しても、Western blott法および免疫組織法を用いて発現していることが確認された。 平成14年度はこれらの神経栄養因子受容体を介したNeurotrophic factors (NTs)の脳血管内皮細胞における増殖・NO産生などに及ぼす影響について検討を行った。その結果、細胞増殖に対して、脳血管内皮細胞ではNT-3による増殖抑制が、大動脈血管内皮細胞ではBDNFによる細胞増殖抑制効果が認められた。また、血管内皮細胞からのNO産生については脳血管内皮細胞ではNT-3が、大動脈血管内皮細胞ではBDNFが産生を増加させた。その作用機構として、脳血管内皮細胞ではNT-3によENOSの発現亢進が蛋白レベル確認された。以上の結果より、脳神経系細胞から分泌されている神経栄養因子の受容体のうちNT-3の受容体であるTrkCが脳血管脳血管内皮細胞に発現し、その受容体を介してM-3が細胞増殖を抑制しENOSの発現増強を介してNOの局所の産生をたかめ、脳血管の制御に重要な役割を担っている可能性が明らかとなった。様々な脳疾患の病態において、このような制御機構の破綻が関与している可能性が考えられる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Ichiro Tatsuno: "Anticonvulsant hypersensitivity syndrome with marked eosinophilia in treatment of diabetic neuropathy"Diabetes Care. 25. 1099-1100 (2002)
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[Publications] Naokatsu Saeki: "Correlation of high signal of the pituitary stalk In macroadenoma and postoperative diabetes inspidus"Am J Neuroradiol. 23. 822-827 (2002)
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[Publications] Ichiro Tatsuno: "Anterior ischemic optic neuropathy associated with idiopathic aldosteronism and hypertension"Opthalmologia. 216. 68-70 (2002)