2001 Fiscal Year Annual Research Report
私たちが発見した新規脂肪細胞特異的グリセロールチャネルの生理機構の解明
Project/Area Number |
13671189
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 正 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90252668)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗山 洋 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
木原 進士 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (20332736)
船橋 徹 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (60243234)
|
Keywords | アクアポリンアディポース / 脂肪分解 / グリセロール / PPARγ / insukin negative response element / 肥満 / 糖尿病 |
Research Abstract |
AQPap遺伝子脂肪組織特異的発現の検討:マウス及びヒトAQPap遺伝子のプロモーター領域にPPARγが結合するPPREを認めた。その転写調節配列にPPARγがRXRとヘテロダイマーを形成し直接結合する。また、このPPREを介して、チアゾリジンによりAQPapは正に転写誘導された。この機構によりAQPap遺伝子は脂肪組織特異的に発現することを明らかにしたJBC2001,Eur J Biochem 2002。 摂食・インスリンによるAQPap転写調節:絶食状態では脂肪細胞から大量のグリセロールが血中へ放出される。絶食・再節食時にはAQPap mRNAは増加・減少し、また、その時の血中グリセロール濃度も増加・減少するが、脂肪分解を抑制するインスリン値とは鏡像関係にあった。ストレプトゾトシン投与でのインスリン欠乏はAQPap mRNAと血中グリセロールを増加させた。3T3-L1脂肪細胞のAQPapはインスリンにより濃度・時間依存性に抑制された。さらに、糖新生に重要な遺伝子、G6Pase、PEPCKのプロモーター領域に存在するinsulin negative response element(IRE)をAQPapプロモーター領域に認めた。そのAQPapのIRE7塩基(TGTTTTT)は1塩基置換するだけでインスリンに対する反応が消失した。同様の調節はヒトAQPap遺伝子にも存在した。即ち、AQPapのインスリンによる転写調節はプロモーターレベルで厳格に調節され、血中グリセロール濃度を規定している可能性が考えられたEur J Biochem 2002,JBC 2001。 ヒトAQPap遺伝子構造の解析:ヒトAQPap遺伝子は全長18kbで8exonから構成される。160人の遺伝子解析を行い、3つのミスセンス変異(R12C, V59L, G264V)と2つのサイレント変異(A103A, G250G)を見い出した。それらAQPap遺伝子ヘテロ変異と肥満、糖尿病との関連性は見られなかった。同定したAQPap遺伝子変異蛋白のうちG264V蛋白は水だけでなくグリセロール透過能も欠失していた。AQPap-G264Vホモ変異患者は、血中グリセロール濃度は正常であったが、運動負荷時ノルアドレナリン濃度が上昇するにも関わらず、血中グリセロール濃度の上昇が遅延した。これは、AQPap遺伝子が運動時の血中グリセロール濃度上昇に関連することが示唆されたEur J Biochem 2002。現在、AQPap KOマウスが誕生し、次年度は定常状態及び種々の栄養状態の変動によりAQPapの欠失状態がいかなる生理変動を引き起こすかを検討し、生体におけるグリセロール代謝を中心としたAQPapの生理的・病態的意義を明らかにしていく予定である。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Kishida K, Shimomura I, Nishizawa H, et al.: "Enhancement of the aquaporin adipose(AQPap)gene expression by a peroxisome proliferators-activated receptor gamma"J. Biol. Chem.. 276・51. 48572-48579 (2001)
-
[Publications] Kondo H, Shimomura I, Kishida K, et al.: "Human aquaporin adipose(AQOap)gene-genomic struclure, promoter analysis and functional mutation-"Eur. J. Biochem.. 269(in press). (2002)
-
[Publications] Kishida K, Shimomura I, Kondo H, et al.: "Genomic structure and insulin-mediated repression of the aquaporin adipose(AQPap), adipose-specific glycerol channel"J. Biol. Chem.. 276・39. 36251-36260 (2001)
-
[Publications] Nagaretani H, Nakamura T, Funahashi T, et al.: "Visceral fat is a major contributor for multiple risk factor clustering in Japanese men with impaired glucose tolerance"Diabetes Care. 24・12. 2127-2133 (2001)
-
[Publications] Nakamura T, Matsuzawa Y: "Life-style related disease and adipocytes"Internal Medicine. 41・1. 68-70 (2002)
-
[Publications] Nakamura T, Funahashi T, Yamashita S, et al.: "Thiazolidinedione derivative improves fat distribution and multiple risk factors in subjects with visceral fat accumulation-double-blind placebo-controlled trial"Diabetes Res Clin Pract. 54・3. 181-190 (2001)