2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13671200
|
Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
根本 昌実 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (10281396)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 敬 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教授 (90205849)
|
Keywords | 膵管上皮細胞 / 再生医学 / インスリン / レーザーマククロダイセクション |
Research Abstract |
本プロジェクトの目的は生体組織に存在する幹細胞から膵レンゲルハンス島(ラ島)が再生する過程において、必要な増殖因子と組織環境を明らかとし、少ない膵管上皮細胞から効率良くラ島を分化再生する方法を樹立することにある。 マウス膵臓を摘出しcollagenase処理後Ficollにより膵管上皮細胞を遠心分離した。Bonner-Weirらの方法に従い、Monolayer sheetを得て薄いマトリジェルをさらにその細胞層に重層して細胞を培養した。これにより膵管上皮細胞が3次元的に発育し、ラ島様クラスターの形成が可能となった。クラスターをdithizone染色し、インスリン分泌能を持つことを確認した。また、RT-PCR法により、このクラスターにはinsulin, hepatocyte growth factorの発現を認め、ラ島への分化を確認した。現在、ラ島細胞への分化に必要な増殖因子とその作用タイミングを知るために、様々な増殖因子を作用させてクラスターの反応を調べている段階である。 また、生体から容易に採取可能なものとして骨髄幹細胞がある。我々は骨髄幹細胞が膵組織内でインスリン産生細胞に分化転換するかどうかについても検討した。雄ラットから採取した骨髄細胞を、STZ誘発糖尿病雌ラットに放射線照射後、尾静注により移植した。移植16週後に膵臓を摘出した。凍結標本からレーザーマククロダイセクションより膵管、ラ氏島、膵外分泌の各領域のDNAを抽出しPCR法にてSRY遺伝子の存在を検討した。また組織標本を作製しインスリン染色とdithizone染色を行った。移植後に血糖値の低下は認めなかった。膵組織のどの領域からもSRY遺伝子を検出し、安定的に移植細胞が膵組織に存在していることが判明した。免疫染色とdithizone染色による検討ではインスリン陽性細胞はラ島にだけ認めた。以上から骨髄幹細胞の膵内分泌細胞への分化転換には、さらに付加的な増殖因子や再生刺激が必要であると考えられた。
|