2001 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪細胞の分化及びその機能におけるカルパインの役割の解析
Project/Area Number |
13671209
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
矢島 由紀子 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (60090114)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 真友美 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (50124459)
楠畑 かおり 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (80321884)
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Keywords | C / EBP / PPARγ / 3T3-L1 / ST-13 / カルパイン / カルパスタチン |
Research Abstract |
脂肪細胞の分化は、これまでマウス胎児由来の前脂肪細胞3T3-L1細胞を用いて解析され、ロイシンジッパー型転写因子のC/EBP(CCAAT/enhancer binding protein)群とリガンド依存性受容体転写因子PPARγ(peroxisome proliferator-activated receptorγ)群が、マスターレギュレーターとして機能することが明らかにされた。そのうちのPPARγには、PPARγ1とPPARγ2が存在する。PPARγ1は生体の各所に少量ながら分布するのに対し、脂肪細胞に特異的に発現するPPARγ2は、脂肪細胞の分化を誘導するとされている。我々はマウス胎児由来3T3-L1とマウス成体由来前脂肪細胞ST-13を脂肪細胞に分化させた時、2種の細胞で上述の転写因子の動態が異なることを見いだした。すなわち、ST-13においてはPPARγ1が誘導前から高い発現があり、マウス胎児由来前脂肪細胞3T3-L1と異なり、PPARγ2に依存せずに分化が誘導されることを見出した。この脂肪細胞の分化において、Ca+依存性システインプロテアーゼ、カルパインは両細胞で異なる役割を果たすことを見い出した。カルパインの特異的な阻害剤であるZLLalは濃度に依存して3T3-L1の分化を抑制したが、ST-13の脂肪細胞の分化を促進した。また、内在性カルパイン阻害因子のカルパスタチンを過剰発現した3T3-L1においては脂肪細胞の分化は起きず、ST-13細胞では分化が著しく促進した。これらの結果は、成体由来と胎児由来の前駆脂肪細胞の分化機構が全く異なり、その違いにおいて、カルパインは鍵となる役割を果たすことが示唆された。
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Research Products
(1 results)