2002 Fiscal Year Annual Research Report
RhoCシグナル伝達を介した膵癌転移能獲得機構の解明と治療遺伝子の開発
Project/Area Number |
13671210
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
加地 苗人 北海道大学, 医学部附属病院, 助手 (40322812)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 正伸 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教授 (80241321)
近藤 哲 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (30215454)
加藤 紘之 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (80002369)
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Keywords | 膵癌 / RhoC / 遺伝子治療 / アデノウイルスベクター |
Research Abstract |
RhoC遺伝子をヒト膵癌細胞株より得られたcDNAからPCR法によって増幅させ、変異の有無をスクリーニングした結果、ras遺伝子のコドン12-13にみられるような変異は認められなかった。次に、RhoC遺伝子をヒト細胞株で発現させるためのベクタープラスミド(pcDNA-RhoC)およびRhoCの活性化制御部位とされるコドン117のアスパラギン酸に人工的に変異を導入してチロシンに置換した変異体を発現するベクタープラスミド(pcDNA-N117Y)を作成した。これらを膵癌細胞株に遺伝子導入して得られたRhoC、N117Y発現膵癌細胞株について、それぞれの増殖能、移動能、浸潤能を定量した。それぞれの株の間で増殖能、移動能には差がみられなかったが、浸潤能についてはRhoC導入株で増大傾向が、N117Y導入株で低下傾向が見られた。次に、N117Y遺伝子が膵癌の転移、浸潤を抑制する治療遺伝子として利用できるか否かを明らかにすることを目的として、N117Y遺伝子を導入したシャトルベクターを構築した。このベクターとアデノウイルスゲノムを大腸菌に共導入し、相同組み換えを利用してN117Y発現アデノウイルスベクター(Ad-N117Y)を作成した。同時に作成した比較対照用の空ベクター(Ad-Mock)を用いて膵癌細胞株に対する治療実験をおこなったが、Ad-Mock感染膵癌細胞株と比較して、Ad-N117Y感染膵癌細胞株の増殖能、移動能、接着能、浸潤能のいずれにおいても統計学的に有意な抑制効果は確認されなかった。
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