2001 Fiscal Year Annual Research Report
肝冷阻血再灌流傷害―回復の過程の研究(類洞内皮細胞及び肝細胞及び肝細胞apoptosisの関与と胆汁酸依存症、非依存性胆汁流量の推移について)
Project/Area Number |
13671219
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今村 宏 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (00283268)
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Keywords | 肝阻血再灌流障害 / 類洞内皮細胞 / アポトーシス / カスパーゼ / Ki-67 |
Research Abstract |
ラット冷疎血-肝移植モデルを用いて、肝冷疎血-再潅流障害における肝細胞と類洞内皮細胞(SEC)のアポトーシスの関与およびグラフトの回復の過程について経時的に検討した。(方法)雄性Lewisラットに対し、同所性肝移植を行い、冷保存無し(UW1h)、冷保存あり(UW16h)の2群を設定した。各群につき冷保存直後、再潅流後4時間、24時間、3日、7日で以下の項目について検討した。(1)HE染色(2)TUNEL法、活性型Caspase-3免疫染色、(3)ラットSECに対するモノクローナル抗体SE-1の免疫染色(4)Ki-67免疫染色(結果)(1)HE染色ではUW16h群において再潅流後24時間で著明な肝細胞壊死を認めた。(2)TUNEL法ではUW16h群において再潅流後4時間でSECの約25%にアポトーシスを認めた。同時期での肝細胞のアポトーシスは少なかった。活性型Caspase-3免疫染色では、UW16h群において再潅流後4時間でSECに活性型Caspase-3の染色を認めたが、肝細胞でのCaspase-3の活性化は認めなかった。(3)SE-1の染色性はUW16h群で再潅流後4時間、24時間で染色性の低下を認め、3日、7日で回復した。(4)Ki-67陽性細胞は肝細胞、SECともにUW16h群において再潅流後3日で著明に増加、7日で正常化した。(考察)ラット肝冷保存-再潅流障害では、再潅流後早期にSECのアポトーシスが起こっている。それに対し、肝細胞は壊死を認めるが、アポトーシスは少なく、肝細胞、SECで障害の機序が異なっている可能性が示唆された。グラフトの再生は再潅流後3日をピークに起こり、7日で終了していた。SE-1の発現は肝冷疎血-再潅流障害におけるSECの障害を反映しており、従来までは困難であった類洞内の細胞の鑑別に有用であると考えられた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] A.Kobayashi, H.Imamura, et al.: "Mac-1(CD116/CD18)and intercellular adhesion molecule-1 in ischemia-reperfusion injury of rat liver"Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol. 281. G577-G585 (2001)
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[Publications] Y.Miyagawa, H.Imamura, et al.: "Fate of Hepatocyte and Sinusoidal Lining Cell Function and Kinetics After Extended Cold Preservation and Tranaplantation of the Rat Liver"Liver Transpl. 8(in press). (2000)